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空き家放置は「もったいない」…順次買い取ったスウェーデン男性、和の趣残し北欧風に再生

読売新聞 / 2024年7月20日 14時0分

 日本の空き家への外国人の関心が高まっている。木彫りの 欄間 らんまや土壁、瓦屋根などのある日本の古い住宅に魅力を感じる外国人が多く、自宅として暮らしたり、民泊用物件として再生したりしている。宿泊した外国人観光客たちにも好評だという。日本の空き家問題にも一石を投じそうだ。(英字新聞部 禰宜雄一)

 東京都中野区の住宅街にある築53年の古家。東京在住のスウェーデン人、アントン・ウォールマンさん(31)が、大工仕事に励んでいた。約3年間空き家だった木造2階建て、床面積約75平方メートルのこの家を約2000万円で購入し、DIYで改装中だ。

 「日本の古い家はとても魅力があります」というウォールマンさん。改装中の家は、 はりや障子など和の要素をそのまま生かしながら、北欧風の明るい住宅に生まれ変わりつつある。完成後は、民泊施設として運営するつもりだ。2015年にモデルの仕事で来日、日本が好きになり、18年に就業ビザを取得し、日本で暮らしている。

 生活を始めると、古い家が放置されたり、建て替えられたりする光景を目の当たりにして残念に思った。「古い家を改修しながら大切に住むのが、スウェーデンの文化。築200年、300年も珍しくない」とウォールマンさん。もともと宮大工の技術や ふすま、土壁、畳、瓦屋根といった日本伝統の建築に関心のあったウォールマンさん。調べたところ、自国では駐車場の土地も買えないほど安い値段で多くの空き家が売られていることを知った。

 そこで、こうした住宅を購入し、自分でリフォームしようと考えた。これまで都内と千葉県で計4軒の空き家を順次購入、北欧と日本の良さを生かした家屋に改修した。うち1軒は自宅。残りは民泊施設で、すでに1軒の運営を始めており、訪日客に人気だという。

 ウォールマンさんは、耐震性や環境性能など日本での課題も理解しつつ、「日本には『もったいない』という言葉もある。古い家をもっと大切にしても良いのでは」と感じている。

欄間や障子・レトロな照明、外国人に人気

 東京都千代田区のコンサルティング会社「パルテノンジャパン」は、地方への外国人の空き家移住を支援する事業「Akiya&Inaka」を展開。移住やセカンドハウス購入の希望者が多く、手彫りの欄間や障子、レトロな照明は特に人気があるそうだ。アレン・パーカー社長(34)は「日本の伝統家屋で暮らしたい外国人は多い」と話す。

 空き家問題に詳しい横浜市立大学の斉藤広子教授(不動産学)は、「海外からの空き家移住が進めば、地域の魅力発見につながる可能性もある。外国人が溶け込める地域の仕組み作りも重要だ」と指摘する。

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