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システム障害 世界を麻痺させたITの寡占

読売新聞 / 2024年7月21日 5時0分

 世界各地で発生した大規模なシステム障害は、生活の基盤をデジタル技術に依存する社会の 脆弱 ぜいじゃく性を浮き彫りにした。官民で危機管理のあり方を再考していく必要がある。

 コンピューターの大規模なシステム障害が19日に世界規模で起きた。米マイクロソフトが提供する基本ソフトウェア(OS)「ウィンドウズ」を搭載したパソコンの画面が青くなり、操作ができなくなる状態が頻発した。

 影響が大きかったのは航空分野だ。日本では、日本航空の予約管理システムに障害が生じたほか、格安航空会社のジェットスター・ジャパンで欠航が相次いだ。

 米国でも、主要航空会社のすべての航空便が発着できなくなるなど、世界で計4万を超える航空便が遅延したという。

 海外では、さらに物流や金融、放送、医療サービスなど、幅広い分野にまで被害は広がった。

 米国では、病院で手術を受けられなくなった。英国のニュース放送局は、放送を一時中断した。豪州の金融機関は、一部の顧客への送金ができなくなったという。

 過去最大級のシステム障害である。20日も被害が残り、生活への影響は甚大だ。マイクロソフトなどは完全復旧を急いでほしい。

 世界を 麻痺 まひさせた障害の原因は、米サイバーセキュリティー会社クラウドストライクのソフト「ファルコン」だ。クラウドを通じて提供しており、ウィンドウズ向けの更新作業で問題が生じた。サイバー攻撃ではないという。

 2011年創業のクラウドストライクは、パソコンなどの情報をサイバー攻撃から守る分野で、世界首位のシェア(占有率)を持ち、約3万社の顧客を抱える。

 世界の各企業は、コロナ禍で在宅勤務が広がる中、セキュリティー対策の一つとして、このソフトの導入を進めてきた。

 かねてIT分野では寡占が起きやすいと指摘されている。今回の大規模障害は、特定の少数企業に依存しすぎるリスクをあらわにしたと言えよう。まずは米2社が再発防止策を徹底するべきだ。

 生産性の向上や人手不足に対応した省力化などデジタル化はあらゆる分野で進んでいる。

 特にインターネットを通じてデータを出し入れできるクラウドは、国民生活に不可欠な金融や医療、電力などで活用が広がり、重要な社会基盤になっている。

 今回を教訓に、官民を挙げて、障害が起きた際の危機対応策を整えていくことが大切になる。

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