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中国の3中総会 統制強化では安定は得られぬ

読売新聞 / 2024年7月21日 5時0分

 中国の習近平政権が、経済より「国家の安全」を重視する姿勢を改めて鮮明にした。安定的な経済成長はこの先一段と難しくなるだろう。

 中国共産党の第20期中央委員会第3回総会(3中総会)が北京で開かれた。米欧とは異なる独自の発展モデル「中国式現代化」の推進に向け、改革を深化させる決定を採択した。

 2012年に発足した習政権は22年から3期目に入っている。3中総会は、5年に1度の党大会から一定期間後に開かれ、中長期の経済政策を討議する。今回の決定は、西側の民主主義や自由経済の道は歩まないことを改めて確認したと言える。

 経済政策については、総会が採択した声明で、「改革」に50回超も言及したが、何をどう改革するのかなど、具体性に欠けた。

 海外からは、中国経済の大きな懸案である不動産市場の低迷に対し、どのような処方箋を示すかが注目されていた。

 だが、声明は、不動産問題について、「重点分野」としつつも、「リスクを防止・解消する政策を実施する」と記すにとどまった。懸念の 払拭 ふっしょくにはほど遠く、市場では失望の声が出ているという。

 中国経済は、消費も低迷している。投資と輸出が主導する従来型の経済から消費と内需を重視する経済に転換する必要性がかねて指摘されているが、その方向での改革は進んでいない。

 一方で、総会をめぐって際立ったのが、習総書記(国家主席)の権威付けである。

 国営新華社通信は、「改革者としての習近平」と題する長文の記事を配信し、「トウ小平に続く卓越した改革者」と持ち上げた。

 中国は35年を「社会主義の現代化」を基本的に実現する期限としているが、総会では「会議で提起された改革の任務を29年の建国80年までに完成させる」という新たな目標も設定した。

 習氏の3期目の任期は27年までだが、それを超える時期に目標を設定したことで、4期目続投に布石を打った可能性がある。

 声明ではまた、「国家の安全」を「中国式現代化の重要な基礎」と位置付けた。中国は昨年、反スパイ法を改正したが、統制がさらに強まる懸念がある。これでは外国企業が中国とビジネスを行うことを 躊躇 ちゅうちょするのは必至だ。

 習政権は、経済が低迷し続ければ、社会不安が増大し、「国家の安全」を確保することが難しくなることを認識する必要がある。

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