「文房具は、夢を叶えてくれるもの」海外でも絶賛。有隣堂名物バイヤー岡﨑弘子さんに聞く、今注目したい驚きの文房具の世界
東京バーゲンマニア / 2024年7月20日 20時32分
![「文房具は、夢を叶えてくれるもの」海外でも絶賛。有隣堂名物バイヤー岡﨑弘子さんに聞く、今注目したい驚きの文房具の世界](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/bgmania/20240720bgmania20242660678_0-small.jpg)
110年以上の歴史をもつ書店チェーン、有隣堂。老舗ながら、YouTubeで本や文房具のユニークな情報を発信して人気を集め、チャンネル登録者数が29万人を突破しています(2024年7月10日現在)。
なかでもファンの多い出演者の一人が、有隣堂文房具バイヤーの岡﨑弘子さんです。おっとりとした口調で文房具愛を炸裂させる岡﨑さんと、ちょっと毒舌なチャンネルMC「R.B.ブッコロー」とのやりとりが、たくさんの視聴者に愛されています。
6月21日にはついに、岡﨑さんが著者となる初の書籍『有隣堂 名物バイヤー岡﨑弘子の愛すべき文房具の世界』が発売されました。
"推し"や"沼"をもつ人にインタビューする連載「好きってなんなん?」第10回は、有隣堂の店舗「STORY STORY YOKOHAMA」にお邪魔し、岡﨑さんが今伝えたい、とっておきの文房具の魅力について聞いてきました。
"蓄光"が一番のお気に入り
まずは一番お気に入りの文房具を紹介してほしいとお願いしたところ、岡﨑さんは、テーブルの上に"蓄光"の文房具をどんどん並べ始めました。
「今日も日差しが、蓄光するのに最適だなと思って......」(取材は7月上旬)
「蓄光、大好きなんです。普段から使っていますよ。黒い持ち物とか、暗いところでぼやんと光ってると『あ、ちゃんと持ってるな』とわかったり。パソコンとか、大事なものにつけています。
4つの箱がセットになっている『ペンコ ストレージ コンテナー グロー』(2750円)には、眼鏡とか、踏んだら困るものを入れて使っています」
さらに、取材当日に持ってきていたバッグにも蓄光キーホルダーが。
有隣堂の広報担当の方が、キーホルダーが光り輝く瞬間を激写していました。これは確かにいいかも......。
『~愛すべき文房具の世界』でも、「部屋の明かりを消した瞬間にいろいろなところに忍ばせている蓄光文具が光りだすのですが、これがたまりません」と、熱い思いを書いています。
蓄光のほか、猫モチーフや手紙グッズなど、ときめく文房具がたくさんあるという岡﨑さん。なぜ、こんなにも文房具に心を掴まれているのでしょうか。
収集癖は子どもの頃から
岡﨑さんは、文房具を好きになった具体的なきっかけを覚えていないそう。小さい頃、近所に文房具屋があり、そこにいつも行っていた記憶はあると話します。
「どれがきっかけなのかしら......という感じなんですが(笑)、だいたいみなさん、小さい頃は文房具好きじゃないですか。学校に持って行けて、一番自慢できるものといったら文房具なので。私の世代は、パソコンやゲームもなかったですし。
当時は、スーパーカー消しゴムを集めて男の子たちと対戦したり、香り付きや型押しの折り紙を集めて、女の子たちと交換していました。
みんなと同じくらい文房具が好きで、私はそれが大人になるまで延長した、という感じですね。今でも、懐かしい折り紙を見つけると買っちゃいます」
子どもの頃から、「何かにハマると集めたくなる」という岡﨑さん。大人になってから集め始めたのがインクです。その愛は、オリジナルのインクをこだわって作るほど。
最初は万年筆にインクを入れて使っていたものの、色を変えづらいうえに、ペン先が乾きやすいというデメリットがありました。そこで、すぐに洗ってインクを変えられるガラスペンを使い始めたところ、今度はガラスペンの美しさにハマっていったそうです。
「私、キラキラしたものとか、ちっちゃいものとか、可愛いもの、夢があるものが大好きなんですよ。そういった夢を、手に取りやすく叶えてくれるのが文房具なんだと思います」
流行らせたいのは"手書き"のよさ
本の中で、「まだ流行っていないものを紹介したい」という思いを語っている岡﨑さん。今注目している「まだ流行っていないもの」を聞いてみました。
「祖父が、絵手紙や日記を書いていたんですよ。私も日記をつけたいなと思って、人に見せるわけじゃないんですけど、その日にあったこととかを書き留めています。
今は"ライフログ"とも呼ばれて、少しずつ流行ってはきてるんですけど、もっともっとみんなが日記をつけるようになるといいなと思います」
「パソコンやスマホを使うと、手書きを忘れてしまうじゃないですか。私、漢字とかパッと思い出せないんですよ(笑)。なので、ちょっとした日記を書いておくのは大切なことだと思います」
STORY STORY YOKOHAMA店舗内の、岡﨑さんセレクトコーナー「岡﨑百貨店」には、お客さんが自由に書き込めるノートが置いてあります。
「メールじゃなくてLINEじゃなくて、ちょっとしたノートに何か書くことが流行ってほしいです。書いてもらうのって、本当にうれしいんですよ」
他にも知ってほしい文房具が
他にも、岡﨑さんが日本でもっと注目されてほしいと思っている文房具があります。『~愛すべき文房具の世界』でも紹介されているのが、北米やヨーロッパで人気を集めている、「ITO BINDERY」というメーカーのメモブロックです。
「製本の技術が半端ないんですよ。見た目はシンプルなんですけど、やっていることがすごく繊細というか。そこまでしなくても......と思うくらい、たくさんの工程を重ねて作っているんです。
紙を切るところを実際に見学したんですけど、すごかったです。裁断機で、こんなに細かいところまで切るんだ......って」
そうして出来上がった断面は、驚きのなめらかさ。一点の傷もなく、とても美しい仕上がりです。
「こういった日本の技術に、海外の人は『素晴らしい!』と価値を見出してくれるんですよね。
消しゴム一つでも、海外の人は『消える!』って驚くんですよ。海外の消しゴムは字が消えないものもあるらしいんです(笑)。日本は品質の基準が定められているおかげで、ちゃんと消えますもんね。
日本人にとっては当たり前でも、海外の人にとっては、日本の文房具はすごいんです。こういった技術を、もっと日本国内に紹介できればと思っています」
このほか、本の中にも、「岡﨑百貨店」にも、岡﨑さんが愛してやまない文房具たちがいっぱい詰め込まれています。
あなたのまだ知らない、奥深い文房具の世界を探検してみてはいかがでしょう。
東京バーゲンマニア編集部
Written by: 馬場レオン
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