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五輪で厳戒、通行に「QR」必須でパリ閑散…コロナ禍以来の静けさに住民ら「まさに天国」

読売新聞 / 2024年7月21日 14時47分

[パリ五輪こぼれ話]

 パリオリンピックの開幕まで1週間を切り、開会式が行われるセーヌ川両岸の一帯は通行規制が敷かれ、厳戒態勢に入っています。ただ、これにより規制区域内の様子は様変わりしました。区域内に入るには、通行許可証にあたるQRコードの事前取得が必要となったため、車や人の流れが大きく減り、いつもはにぎやかなパリ中心部が静まりかえっているのです。

 QRコードを申請していない観光客らがやや不便を強いられる一方で、あらかじめ取得していた近隣住民らはつかの間の別天地を、ここぞとばかりに楽しんでいます。開幕前最後の週末となった20日、パリ中心部にかかる橋の一つ「ポンヌフ」では、市民らが車道の真ん中で写真撮影したり、橋の途中で自転車を止めて周囲の景色をのんびりと眺めたりしていました。走行中のオープンカーの助手席で歓声を上げながら、スマホで動画撮影する若者の姿もありました。

 ノートルダム大聖堂が立つシテ島を挟み、セーヌ川の両岸を結ぶポンヌフは、パリ有数の観光名所。ルーブル美術館近くの自宅から散策に訪れていたアナトール・トレフォーさんは「いつもの週末なら、記念撮影する観光客やパリっ子たちでいっぱいだが、きょうは静かでいい」とにっこり。セーヌ川を挟んでエッフェル塔が対岸に立つトロカデロ広場近くに住むというラシェル・クレモンさんも「こんなに人がいないなんて、新型コロナウイルスが流行した時以来」と笑顔で橋を渡っていきました。

 開幕直前の厳しい通行規制に備えてきたのは、フランス人だけではありません。出張で時々、パリを訪れるというイギリス人のデイビッド・スカンロンさんは、QRコードを事前申請してきました。「パリには10回ぐらい来ているけれど、こんなのは初めて。まさに天国。穏やかな気持ちになれる」と、エッフェル塔を遠くに望む景色を堪能していました。

 多少の不便を、寛大な心で受け入れる人もいます。住まいがセーヌ川の左岸、勤務先が右岸にあり、自転車通勤の際に毎日、ポンヌフを渡るというオドレイ・クエスタさんはその都度、警備員からQRコードの提示を求められます。「手間はかかる」と率直に認めるものの、「生まれ育ったパリでオリンピックが行われるなんて、一生に一度のこと。この程度なら大歓迎よ」と言います。

 花の都でオリンピックが開かれるのは100年ぶり。お祭りは楽しんだもん勝ち、ということなのかもしれません。(デジタル編集部 深井千弘)

 パリオリンピックを巡る様々な話題を、ユニークな視点で随時お届けするコーナーです。

ふかい・ゆきひろ 1977年生まれ。2000年に入社し、地方支局や運動部などを経て、2022年からデジタル編集部。オリンピックの取材は3年前の東京大会に続いて2度目。好きなフランス映画は「最強のふたり」。

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