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仏作曲家フィリップ・マヌリが日本で新作初演へ…オーケストラを再構成し、新様式の響き聴かせる

読売新聞 / 2024年7月26日 17時0分

 フランスを代表する作曲家、フィリップ・マヌリ(72)は、前衛と伝統を融合させた新しい作品を精力的に生み出してきた。8月に東京・赤坂で開かれる「サントリーホール サマーフェスティバル」のテーマ作曲家として来日するのを前に、最新作について聞いた。(松本良一)

 1970年代初めから頭角を現し、楽器の音を電気的に即時変調させるライブ・エレクトロニクスを取り入れた作品で知られる。ブーレーズら戦後前衛音楽の精神を継承し、一貫して実験的作風を示してきた。ここ10年ほど取り組んでいるのはオーケストラ作品だ。

 「創作では常に新しい様式を模索すべきです。オーケストラの形は18世紀後半から基本的に変わっていない。その構造を内部から変えたい」

 弦・管・打楽器がパートごとに分かれ、指揮者の下で音楽を作り上げるスタイルは、もう古いのか。「それは階層的で支配・被支配の関係と言ってもいい。しかし、今日の社会では奏者同士がお互いに影響を与え合う関係が理想です」

 サントリーホールからの委嘱作で、8月23日の「オーケストラ・ポートレート」公演で世界初演される「プレザンス」(ブラッド・ラブマン指揮、東京交響楽団)は、オーケストラの構成・配置を一新し、新たな表現をめざす。

 「楽器を混成した新たなグループに分け、一部の奏者は立ち上がって舞台上を移動し、最後はホールの外に出て行く。音楽のエネルギーを外部に向かって拡散させることをイメージしています」

 コンピューター解析によって作曲された、それぞれの楽器の音のバランスを取りながら、空間全体の響きを総合的にコントロールする。このデジタルな分析(作曲)とアナログな実践(演奏)が、車の両輪のように「人工知能(AI)にはまねできない美学的な創作」を支えている。

 クラシック音楽界は、ダンスや映画などと比べて閉鎖的だと話す。「伝統が培ってきた豊かな財産を時代に応じて変革し、次の世代に伝えることが作曲家の使命です」。どんな響きが生まれるのか。

 ほかに26日にはトークと作曲ワークショップ、27日には「室内楽ポートレート」公演も。いずれも午後7時開演。(電)0570・55・0017。

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