興南１０回サヨナラ、石川主将「目立つ選手はいなくても束になって戦うことができた」

延長１０回、興南の代打・嘉数がサヨナラ打を放つ

　全国高校野球地方大会は２１日、今夏初めての決勝が３大会で行われ、札幌日大（南北海道）が夏の甲子園初出場を決めた。金足農（秋田）は準優勝した２０１８年以来、興南（沖縄）は延長タイブレイクの末に２年ぶりの甲子園切符をつかんだ。昨夏の代表校では、仙台育英（宮城）、北陸（福井）などが勝ち上がったが、共栄学園（東東京）、立命館宇治（京都）などが姿を消した。

興南４―３エナジックスポーツ（延長１０回タイブレイク）

　興南は、投手陣が今大会初めて１試合で３失点を喫する苦しい展開だった。

　試合は３―３で、延長十回タイブレイクに突入。無死一、二塁から相手の攻撃が始まり、先頭の４番に右前打を浴びた。先発マウンドから右翼の守備に入っていたエース田崎は捕球すると、素早く本塁へ送球。好返球で二塁走者をアウトにし、得点を阻んだ。

　一死一、三塁から再びマウンドへ戻った。「自分が抑えて攻撃に流れを持ってこよう」。後続を三振に仕留め、無失点でしのいだ。

　チームは準決勝までの４試合で３失点と投手陣の踏ん張りで勝ち上がってきた。強打の打線を相手に粘投する姿を見て、何も感じない打者はいなかっただろう。

　十回、二死二、三塁。代打で登場した嘉数は、大きく深呼吸して左打席に入った。「投手陣が頑張っている。次は打者だ」。外角低めの直球を中前にはじき返し、歓喜の瞬間を迎えた。石川主将は「目立つ選手はいなくても、束になって戦うことができたのが今日の勝因」と胸を張った。

　２０２２年の甲子園では、初戦で敗退した。「つなぐ打撃という自分たちの野球をすれば、おのずと結果がついてくる」と石川。チームは「結束力」という大きな収穫を得て、大舞台に乗り込む。（古島弘章）

興南（沖縄）　２年ぶり１４度目

　◇１９６２年創部。２０１０年に甲子園で春夏連覇。選抜は４度出場。ＯＢにオリックスの宮城 大弥 （ひろや）ら。私立。