フランス当局がAIを活用した監視システム導入…テロ対策・プライバシー保護巡り、賛否も
読売新聞 / 2024年7月22日 19時57分
【パリ=松久高広】26日のパリ五輪開幕が迫る中、フランス当局は、警備体制の強化に向け、人工知能(AI)による監視カメラ映像の監視システムを導入している。テロ対策などの措置とプライバシー保護の両立を巡り、地元住民らの間で賛否が割れている。
21日、パリ中心部・オペラ座前では、沿道のカフェが観光客らで埋まり、にぎわっていた。兵士らがライフル銃を携え、物々しい雰囲気も漂うが、英国から訪れた女性(44)は「少し驚いたが、むしろ安心して楽しめる」と語った。
今大会は建物が密集する中心地に複数の競技会場があり、警備の難しさが指摘される。そこで仏当局は五輪期間中、既存のビデオ監視システムの映像をAIがリアルタイムで分析する新システムを導入する。米政治専門紙ポリティコ(欧州版)によると、2020年時点で仏全土で設置された監視カメラは約9万台だ。
AI監視の対象は、放置された物体や武器の使用といった「状況や行動」だ。「重要なのは『ミスターX』を識別することではない」(仏高官)として、個人の特定につながる顔認証技術は使わず、複数のカメラによる特定人物の追跡もできないという。社会で重視されるプライバシー保護への配慮を示すためだ。
パリでは今月、警備中の兵士が刃物で切りつけられた。地元男性(27)は国内外でのテロや事件のニュースに接すると「不安が募る」といい、AI監視に賛成の立場だ。観光客からも「パリを訪れるのは善良な人物だけではない」と理解を示す声がある。
一方、パリ在住のエンジニア、ケニー・ギウッシュさん(26)は「個人の『行動の自由』への侵害だ」と批判する。当局が近年、デモ警戒に無人機を使い、最新技術で監視を強める中、五輪後に終了予定とされるAI監視の運用がなし崩しで続くのではないかと疑う。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチなど38団体は昨年、フランスが欧州連合(EU)加盟国で初めてAIによる広域監視システムを合法化することを踏まえ、「集会や結社の自由などの基本的人権に容認できないリスクをもたらす」と懸念を示した。
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