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東海道新幹線が終日運転見合わせ…夏休み開始直後の乗客、猛暑の駅で足止め「人酔いでつらかった」

読売新聞 / 2024年7月23日 0時27分

 東海道新幹線で22日に発生した保守用車両の脱線事故により、大都市圏を結ぶ鉄路の「大動脈」が終日分断される事態となった。運転見合わせが続く中、JR東海は同日夜に急きょ記者会見を開いて謝罪。夏休み開始直後のトラブルに多数の乗客が足止めを食らい、猛暑の駅には疲れ果てた人たちの姿が目立った。

鉄路の「要」で影響大

 「車両の壊れ方が当初思っていたよりもひどく、慎重に対応し、予想よりも時間を要してしまった」

 東京都内で午後8時過ぎから開かれたJR東海の記者会見。出席した川越洋・施設部長と有本政弘・運輸営業部長は、運転見合わせを引き起こした保守用車両の脱線事故について説明し、頭を下げた。同社は午後10時になり、影響人員は約25万人と見込まれると発表した。

 気象庁によると、この日は東京都心で36・6度、名古屋市で37・3度まで上昇。各地の駅には旅行や出張を予定していた人たちが詰めかけ、猛暑の中で新幹線の運転再開を待った。

 東京都の主婦(45)は、小学5年の長男(10)と一緒に東京駅から新幹線に乗り、兵庫県姫路市の実家へ帰る予定だったという。主婦は「両親に『今日中に帰れないかも』と伝えると、さみしそうだった。息子もがっかりしている」と肩を落とした。

 一方、大阪府泉大津市、会社経営の男性(50)は都内で仕事を終えた後、新幹線と在来線を乗り継いで、午後7時頃に名古屋駅に着いた。「浜松駅が混雑していて、人酔いでかなりつらかった。通常運転に戻らないことを早めに知らせてくれたら、都内でもう1泊していたかもしれない」と疲れた様子で話した。

 東海道新幹線の運転見合わせを受け、JR東日本は、北陸新幹線で上下線各1本ずつ東京―敦賀間を走る臨時列車の運行を決定。上下線ともに、事故の影響で利用者が増えているための措置という。全日本空輸は、正午過ぎから羽田―伊丹間で2往復4便(計1420席)の臨時便を設けた。日本航空も夕方から同区間を往来する3便(計495席)の臨時便のほか、2便で使用機材を大型化して400席以上増やした。

脱線事故「原因」断定できず

 記者会見では、報道陣から脱線事故についての質問が相次いだ。

 脱線の前提となった保守用車両同士の衝突について、川越部長は「運転者のよそ見や居眠りなどの状況はない」と強調した一方、「何らかの影響でブレーキの不具合が発生したと推定しているが、現時点では原因が断定できない」と述べるにとどめた。

 事故では、衝突した車両を運転していた男性作業員が首の骨を折る重傷となり、別の男性作業員1人も足を打撲するけがを負った。愛知県警は作業員らに事情を聞き、現場での実況見分も行う予定という。

 現場では、JR東海や協力会社の作業員らが脱線した保守用車両の衝突部分やレールを確認したり、枕木を交換したりして復旧作業を進め、午後10時過ぎに完了した。

保守作業中の事故これまでも

 新幹線の保守作業を巡り、車両が事故を起こしたケースはこれまでにもある。

 05年10月、山口県防府市の山陽新幹線の線路で、架線の取り換え作業をしていた保守用車両が別の車両に衝突し、作業員ら3人が重軽傷。15年12月にも、静岡市葵区の東海道新幹線の線路上で、保線作業を終えて車両基地に戻ろうとした保守用車両が、前方で停止していた別の保守用車両に衝突して脱輪した。

 戸崎肇・桜美林大教授(交通政策)は「東海道新幹線は日本の大動脈であり、終日運休した影響は甚大だ。事故は安全に実施されるべき保守点検中に起きたもので、通常はあってはならない。JR東海は事故がミスによるものか、システム上の問題に起因するのかなどを究明し、再発防止策を徹底する必要がある」と指摘している。

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