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バイデン氏撤退 仕切り直しで混乱を収拾せよ

読売新聞 / 2024年7月23日 5時0分

 米大統領選まで4か月を切る中で、異例の大統領候補差し替えである。選挙をめぐる混乱を収拾させ、超大国の指導者選びにふさわしい環境を整えてほしい。

 再選を目指していた民主党のバイデン大統領が、選挙戦からの撤退を表明した。自ら身を引くことが「党と国家にとって最善の利益」だと説明し、民主党の勝利を確実にするための苦渋の決断であることをにじませた。

 6月末に行われた大統領選のテレビ討論会で、バイデン氏は言葉に詰まり、衰えが目立った。本人は再選になお意欲を示したものの、ペロシ元下院議長ら党内の有力者から撤退を強く促され、抗しきれなくなったのだろう。

 バイデン氏は後任の大統領候補としてハリス副大統領を支持し、ハリス氏も受け入れた。

 ハリス氏は父がジャマイカ、母がインド出身の移民2世で、民主党が重視する多様性を象徴する存在である。当選すれば米国史上初の女性大統領となることも、有権者の支持につながると期待されたのではないか。

 ハリス氏は副大統領として、女性の中絶の権利を擁護するよう訴える一方で、担当した移民政策ではメキシコ国境に足を運ぶのが遅れ、批判された。党内には別の候補を推す声もくすぶっている。

 8月にシカゴで開かれる民主党大会で、一致してハリス氏を指名することができるかどうか、党の団結が問われることになる。

 再選を目指す大統領が途中で出馬を辞退するのは、1968年3月に民主党のリンドン・ジョンソン大統領が撤退を表明して以来、56年ぶりとなる。党大会直前の候補差し替えは前例がない。

 これまでの各州の党予備選では、支持者の多くがバイデン氏に投票した。民意で選ばれた大統領候補を、党や本人の都合で差し替える以上、公正で開かれたプロセスを通じて、支持者や有権者の理解を得る努力が欠かせない。

 共和党候補のトランプ前大統領は、バイデン氏について「立候補も大統領職もふさわしくない。 うそとフェイクニュースで大統領に就いた」と述べた。ライバルへの敬意を欠いた不快な発言だ。

 トランプ氏は遊説中に銃撃された直後の共和党大会では、「すべての国民の大統領になる」と、団結を訴えたのではなかったか。

 大統領選は新局面に入った。候補者同士が ののしり合う不毛な争いとは決別し、米国や世界をどう導くのかを論じ合ってもらいたい。

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