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宇都宮ギョーザ、おいしさの秘密は水道水?…実験の結果は最高評価「皮がよく伸びもっちり食感に」

読売新聞 / 2024年7月23日 19時0分

鈴木事務局長(中央)が見守る中、ギョーザを焼く水道局の職員(宇都宮市峰町の宇都宮大峰キャンパスで)

 宇都宮のギョーザがおいしいのは、水道水のおかげ? 宇都宮市上下水道局が、宇都宮大や宇都宮 餃子 ギョーザ会と連携し、種類の違う水で作ったギョーザの食べ比べなどの実験を行っている。市の水道水がギョーザの味わいに与える影響を解明することで、水道水のイメージアップにつなげるのが狙いだ。(奥山大輝)

 水と小麦粉を練った生地を電子計量器で一定量に分け、麺棒で2ミリ厚に伸ばす。ホットプレートにスポイトから油を注ぎ、あんを包んだギョーザを並べて加熱。途中、メスシリンダーから水を入れ、蒸し焼きに。ふたを開けると、香ばしい蒸気が実験室中に広がった。

 宇都宮大の田村匡嗣准教授(食品工学)の研究室で5月下旬に行われた実験。薬品や器具が並ぶ室内で黙々とギョーザを作るのは、市上下水道局の職員たち。その様子を、餃子会の鈴木章弘事務局長が真剣な表情で見守った。

 実験では、生地の材料として、ミネラルの含有量が異なる高軟水、水道水、硬水の3種類を用意し、皮の弾力や味がどう変わるかを調べた。

 測定器で検査すると、焼いた場合は、水道水で作った皮が最もよく伸びて、もっちりとした食感になると判明。また、ギョーザとしての味わいについては、水道局の職員10人がどの水で作られたかを伏せた状態で味見し、5点満点で評価。焼いた場合も、ゆでた場合も、ともに水道水で作ったものが最高点だった。

 餃子会の鈴木事務局長は「店でも水道水で仕込んでいる。水でここまで違うなんて」と驚いた様子。田村准教授は「もう少し再現性が必要とはいえ、面白い結果。客観性のある裏付けができるよう、精度を高めていきたい」と話した。

市は「おいしい水」アピール

 水道局は2023年秋からこうした実験に取り組んでいる。その狙いについて、水道局の大竹信久管理者は「市の名物として知名度があるギョーザとのコラボで、水道水をアピールしたい」と話す。

 鬼怒川などを水源とする宇都宮の水は以前から評価が高く、国が1985年に公表した調査では、「水道水のおいしい都市」32市に選ばれている。その時に国が定めた、硬度や残留塩素など全7項目の基準は現在も満たしているが、ミネラルウォーターの普及もあり、水道水を飲む市民は減少傾向にある。

 市が、普段飲む水を市民に聞いたところ、「そのままの水道水」と答えた人の割合は、2017年度の約7割から、22年度には5割程度に落ち込んだ。収益につながる水道使用量も近年は微減が続いている。

 現状への危機感から、水道局は水道水のイメージアップに躍起になっている。昨年4月には、PRを担う組織として「おいしい水うつのみや研究チーム」を発足。水質の詳細な分析結果をホームページで公表しているほか、LRT(次世代型路面電車)とコラボしたパッケージの炭酸入り水道水ボトルも発売。市内各地で無料の給水スポット「宮の泉」の設置も進めている。

 ギョーザとのタイアップはその一環で始めた。水道局や同大は、現在も改良を加えながら実験を続けており、水道水に最も合う小麦粉の種類なども調べている。

 成果は11月に開催予定の宇都宮餃子祭りで発表する方針だ。水道局は「水道水のおいしいまちと市民に認識してもらえるよう、目を引く取り組みを続けたい」としている。

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