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バー・キャバレー・ナイトクラブ、すし店の倒産加速 二次会離れと、新ナイトビジネスの影響か...生き残りの道は?

J-CASTニュース / 2024年7月22日 19時29分

バー・キャバレー・ナイトクラブ、すし店の倒産加速 二次会離れと、新ナイトビジネスの影響か...生き残りの道は?

バーのカウンターでくつろぐ女性

バー・キャバレー・ナイトクラブといった接待を伴う飲食店や、すし店の倒産が加速していることが、東京商工リサーチが2024年7月11日に発表した「2024年上半期(1~6月)『飲食業の倒産動向』調査」で明らかになった。

飲食業界の集客や売上は、コロナ禍から回復途上にありながら、こうした店だけが特に厳しい状況に陥ったのはなぜか。調査担当者に聞いた。

バーやすし店は、外国人旅行客に人気の店なのに

東京商工リサーチの調査によると、2024年上半期(1~6月)の「飲食業」の倒産(負債1000万円以上)は493件(前年同期比16.2%増)で、上半期としては過去最多となった。現在のペースだと、年間で初めて1000件を超える可能性も出ている。

中でも、業種別では、「バー・キャバレー・ナイトクラブ」(前年同期比161.1%増)と「すし店」(同157.1%増)の増加率が突出して高いことが目立つ。飲食業全体の平均が16%増程度なのに、それぞれ2.5倍以上もの増加ぶりだ【図表】。

コロナ禍の収束で人流や客足が戻り、飲食業全体の集客や売上は回復傾向にある。だが、歴史的な円安による物価高やエネルギー価格の上昇、人件費高騰などが収益を圧迫している。

バー・キャバレー・ナイトクラブ、すし店は、外国人旅行客に人気とあって好調なインバウンド需要の恩恵を受けている。しかし、コロナ禍で傷んだ事業者の中には、財務改善や過剰債務の解消が困難なまま人件費・光熱費などの上昇を受けたところもあり、淘汰が進んでいる。

コロナ禍の批判には、銀座ママとホステスが抗議の記者会見も

どうしてこれほどの差が出てしまったのか。J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった東京商工リサーチ情報部の担当者に話を聞いた。

――バー・キャバレー・ナイトクラブや、すし店の倒産増加率が突出して高いです。ズバリ、それぞれの理由は何ですか。

リポートでは、「繁華街の人流回復や好調なインバウンド需要の恩恵を受けているが、コロナ禍で傷んだ事業者は、財務改善や過剰債務が困難なまま、人件費・光熱費などの上昇を受け淘汰が進んでいる」とありますが、その事情は他の飲食店も同じではないでしょうか。

担当者 バー・キャバレー・ナイトクラブもすし店も、接待需要を多く取り込む業態で、コロナ禍を経てそういった需要が減少してきた影響が出始めているのではないでしょうか。

一般に、事業を停止してから倒産に至るまでには多少の期間がかかります。アフターコロナの需要回復を期待していた事業者が、客足や単価が戻らないことで事業継続を断念するケースが、倒産として表面化してくる時期になっている可能性があります。

――バー・キャバレー・ナイトクラブは接待を伴う飲食店で、風俗営業法の管轄店です。コロナ禍では感染のリスクが非常に高い「自粛」の対象として、東京都などから名指しで批判され、休業補償から外されるなどしたため、業界団体の日本水商売協会の銀座ママさんやホステスさんたちが抗議の記者会見を開いたこともありました。

担当者 バー・キャバレー・ナイトクラブは、夜の飲み会の2軒目以降に利用されることが多く、二次会に行く人が減った影響が大きいのではないでしょうか。

また、たしかにコロナ禍の休業支援などの補償の対象外だった一方で、ゼロゼロ融資など信用保証の対象にはなっています。それが一時的な倒産の抑制につながった可能性があり、アフターコロナで反動増となっているかもしれません。

実際、有名店では、コロナ禍の客足減少で資金繰りが追い付かなくなった銀座のキャバクラや、売上の申告漏れによる追徴課税を全額納付することができず倒産した品川のキャバクラなどのケースがあります。

すし職人のなり手不足と、回転ずしの人気に押され

――近年は若い人の間で「ソバーキュリアス」という酒を飲まない風潮さえも広がっています。また、企業の接待が減っている影響も受けているのでしょうか。

担当者 その傾向もあるかもしれませんが、インバウンド需要のもとで注目が集まるナイトタイムエコノミーでは、新たなカルチャーや業態として参入する企業があります。従来のナイトビジネスがそういった新しい業態との競合に晒(さら)されているケースもあるのではないか。

――なるほど。新しいナイトビジネス文化の襲来ですか。しかし、「すし店」は外国人の間では和食がブームで、日本に来たら本場の「SUSHI」(スシ)を味わいたいと大人気です。ラーメンと並ぶ国民食でもあり、突出して減っているのは不思議です。

担当者 すし職人のなり手がいない人手不足の一方で、家族連れの間では機械化されて安い回転ずしの人気も高まっています。そうしたことが影響していると思われます。
また、消費者の嗜好が変化・多様化するなか、すし店はインバウンド需要を取り込むための外国語対応やキャッシュレス対応などが難しい店を中心に、厳しい状況に陥っている可能性もあります。

――今後、バー・キャバレー・ナイトクラブとすし店は、衰退に向かうのでしょうか。また、今回の調査で特に指摘しておきたいことがありますか。

担当者 どちらの業種も、衰退というよりは淘汰が進むと思います。もともと飲食業は利用客の年齢層や時代背景により、流行が短期的なサイクルで変化する傾向にあります。
長年の業歴や伝統を持つすし店、バー・キャバレー・ナイトクラブだとしても、後継者問題に加え、現在の客層を把握して提供するサービスを吟味していかなければ、存続が難しい企業も出てくるでしょう。
また、倒産増加率の点で、すし店とバー・キャバレー・ナイトクラブに注目が集まっていますが、飲食業全体でも倒産件数は過去最多の水準です。業態にかかわらず飲食業者が苦境にあることは注視していくべきです。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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