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国際協調路線のバイデン外交は「限界」露呈…ウクライナ侵略・ガザ紛争終結メドつけられず、米国内の分断も深まる

読売新聞 / 2024年7月23日 7時10分

 【ワシントン=向井ゆう子】米大統領選からの撤退を表明した民主党のバイデン大統領は就任以来、国際協調路線をとり、米外交の立て直しに注力してきた。ロシアによるウクライナ侵略とガザ紛争の終結にめどをつけられず、バイデン外交の限界が露呈した。米国内の分断も深まり、支持率は低迷した。

脱トランプ

 2021年1月に大統領に就任したバイデン氏が就任直後から取り組んだのが、共和党のドナルド・トランプ前大統領が進めた「米国第一」からの脱却だ。民主主義という共通の価値観を掲げて、米国が世界を主導する姿勢を鮮明にした。

 特に、軍事力・経済力で米国の足元に迫る中国への対応だ。インド太平洋を重視し、米国、日本、オーストラリア、インドによる「Quad(クアッド)」を閣僚級から首脳級に格上げ。英国、豪州との安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」も発足させた。

 日本との同盟関係強化にも取り組み、韓国、フィリピンをそれぞれ加えた3か国首脳対話を創設した。23年5月には広島市での先進7か国首脳会議(G7サミット)に出席し、24年4月には岸田首相を国賓待遇でワシントンに迎えた。

 米同時テロから20年の節目を迎えた21年8月には、米軍をアフガニスタンから撤退させた。共和党から「我が国史上、最も恥ずべき瞬間」(トランプ氏)と批判されながらも、実行したのは、対中に専念する狙いからだった。

予算通らず

 計算を狂わせたのが、22年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵略、23年10月のイスラム主義組織ハマスによるイスラエル攻撃だ。バイデン政権は、ロシアとウクライナを「権威主義対民主主義の戦い」と強調し、ウクライナを支援。ハマスに反撃したイスラエル支持も鮮明にした。

 しかし、ウクライナ支援は長期化し、共和党の反対で関連予算が議会を通らない状態が続いた。イスラエルのガザ攻撃では、民間人の死傷者が多数出て、若者を中心にバイデン政権への反発が強まった。

中絶や移民 分断深まる

 内政では、民主党を支持するリベラル層にアピールするため、多様性を重視した。同性婚の権利確保に取り組んだほか、連邦最高裁判事に初めて黒人女性を起用した。人工妊娠中絶では、女性の権利を保護する姿勢を強調した。

 移民の受け入れにも寛容さを示したが、メキシコ国境から記録的な数の不法移民が流入し、世論の強い批判を浴びた。バイデン政権の政策に、保守派を中心とした共和党支持者が強く反発し、国内の分断は深まった。

 新型コロナ禍からの急回復で、任期中の米国の経済指標は、高い成長率、低失業率を維持するなど好調だった。一方で、コロナ対策として行った巨額の財政出動などが原因で、高いインフレが続いた。国民の負担感は大きく、不人気の原因となった。22年の中間選挙では共和党に下院の多数派を奪われた。今年6月には、次男ハンター氏が銃の不法購入で有罪評決を受け、痛手となった。

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