いよいよパリオリンピック…世界一の争いに・選手の懸命な姿に、みんなで精一杯応援

バルセロナ五輪女子２００Ｍ平泳ぎで金メダルを獲得した岩崎恭子の力泳（１９９２年８月、氏原治撮影）

　２６日にパリ五輪が開幕します。セーヌ川を使った開会式など見所は多く、日本代表への期待も高まっています。読売新聞朝刊の投書欄「気流」には、オリンピックに関する投書が数多く寄せられてきました。記者の心に刺さった投書を紹介する「ササる投書」、今回のテーマは「オリンピック」です。（※投稿者の年齢や職業などは掲載当時。紙面では実名で掲載）

相手国選手にもおしみなく拍手送ろう

　オリンピックがいよいよ開幕されます。このための施設や準備はりっぱにできましたが、国民の心構えに欠けるものがあってはありません。

　日本人は日本選手が得点したりファイン・プレーをやったりすると拍手をして、相手国の選手がいくらファイン・プレーをやっても拍手を送らない。反対に失敗すれば歓声をあげて喜ぶといった島国根性を持っています。つい最近は、ボクシングの試合で日本選手に勝ったある外人選手が、日本の観客に暴行されるということがありましたが、なんたることでしょう。国民は、広い態度で各国の選手におしみなく拍手を送り、相手国の選手や観客に悪い感じを与えないようにしましょう。せっかくの国際親善のための試合が反対の結果を招かないように、お互い気をつけることです。（２０歳・学生＝神奈川県、１９６４年１０月１０日掲載）

メダル気にせず悔いのない試合を

　岩崎恭子さんの史上最年少の金メダルは、さわやかで本当にすばらしかった。同じ日本人というだけで、あたかも身内のごとく歓喜し、感激できるのは不思議である。

　と同時に、私が不思議に思うのは、報道などで「メダル」ばかりが強調されることである。日本人は精神的に弱いと盛んに言われているにもかかわらず、なぜ追い打ちをかけるようなことをするのだろうか。

　メダルの価値や重みは、選手本人が一番深刻に受け止めているはずである。日本代表になるだけでも大変なことなのだ。晴れてオリンピックのひのき舞台に立てたのだから、メダルなんか気にせず、自分の力を精一杯発揮して悔いのない試合をして欲しい。

　頭ではそう考えながらもまた金メダルの興奮を味わいたいと願い、テレビにかじりついている。日本選手にいい風が吹きますように。（２９歳・会社員＝東京都、１９９２年８月１日掲載）

パソコン通信で知らない人と一緒に

　アトランタ五輪で今までにない観戦経験をしている。海外で行われる試合をリアルタイムで自宅で見られるのは今や珍しくもないが、パソコン通信を介し、日本各地に住む複数の知らない人と一緒に見ながら意見交換・歓談できるのだ。

　パソコン通信は今や一般家庭生活に違和感なく入りつつある。それでも少し前までは、オンライン上で行うチャット（おしゃべり）には抵抗感があった。電子メールと違い、その場で双方向的なやりとりをするため、ある程度のタイピング速度が必要だし、いきなり見も知らない人と文字だけで交信する抵抗感から、以前はオタク的コミュニケーションとみられていた。

　しかし、近年の急速なコンピューター・ネッ卜ワーク化により利用者も増加し、高校生専用のチャッ卜のコーナーも設けられ、受験や学校生活に関する情報交換も行っているという。

　アトランタ五輪はＩＯＣ加盟の１９７の国と地域がすべて参加した史上初のオリンピックというが、同時に情報通信技術の発達は国内外を問わず、物理的距離感をさらに小さなものとしていることを示した。

　さらに再来年、長野で行われる冬季オリンピックではどのような観戦ができるのか予想もつかない。（２４歳・研究員＝東京都、１９９６年７月２４日掲載）

楽しみは世界地図を手に国探し

　僕が、パリ五輪・パラリンピックで楽しみにしていることは国探しです。開会式のテレビ中継で、それぞれの国の選手が入場する時に、その国がどこにあるのか世界地図で探します。前回の東京五輪の時に始めました。

　国名だけを知っている国でも、地図を見ることでその国の場所や形、大きさを知ることができます。

　いろいろな国・地域の代表選手がにこにこと笑顔で入場してくるのを見ると、僕も笑顔になります。そして「がんばれ！」と思います。（１０歳・小学生＝香川県、２０２４年７月１４日掲載）

担当記者から

　オリンピックの観戦スタイルを伝える投書を選びました。時代と共に競技や視聴手段は変わりますが、選手に対する敬意が大事です。喜びや感動を伝える大会になってほしいと強く願っています。（田渕）

　「ササる投書」を随時掲載します。次回もお楽しみに！