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元々浦戸諸島には「だんべっこ船」もあり、島の案内人が心込めて小舟で島を案内する

読売新聞 / 2024年7月24日 5時0分

漁船で松島湾の島を案内している鈴木さん

 宮城県塩釜市の浦戸諸島・寒風沢島から同県東松島市の宮戸島までを結ぶ漁船の船長をしています。みちのく潮風トレイルの海を渡るルートの中で唯一のトレイル専用航路です。

 2011年の東日本大震災の時、塩釜市職員だった私は復興のため、松島湾周辺の観光資源の開発に取り組むことになりました。松島周辺は国の特別名勝で、住宅の建て替えといった現状変更には県の許可が必要なこともあり、定住人口よりも交流人口の増加を目指すことになりました。

 トレイルルートを検討していた13年頃、環境省の担当者から、「定番の瑞巌寺や五大堂観光や、遊覧船の島巡りではなく、小舟で島に渡れないか」と提案されました。「面白い」と思ったのと、元々浦戸諸島には「だんべっこ船」という島巡り船もあったので、島に暮らす仲間たちに声をかけて、手伝うことが決まりました。

 ただ船で島と島をつなぐだけでは、15分で終わってしまいます。遠くから訪れる人もいますし、乗船料をいただく以上、満足して帰ってもらいたいと思い、遠回りをして、1時間かけてじっくり島を案内しています。カキの養殖場や鳥の産卵地、岩のトンネルをくぐれる島など、小さな船ならではのポイントを巡ります。また、今と昔の写真を拡大印刷したものを見せながら、島の歴史も伝えています。

 長野や埼玉といった海がない県や、鹿児島や愛媛といった遠方からのハイカーも訪れますし、外国の方の利用も増えています。私たちは日本語しかしゃべれませんが、言葉がわからなくても、身ぶり手ぶりで十分伝わります。一緒に写真を撮ったり、「友達に紹介する」と言ってくれたり、後で絵手紙をくれたり、案内に満足してくれたことがわかるとやりがいを感じます。

 もっと島に遊びに来てほしいとは願っていますが、島にはトイレも少ない上、軽食やお土産を買える場所もなく、市営汽船の時間も限られており、受け入れ態勢が万全とはいえません。それでもできる範囲で、生まれ育った島の魅力を伝えていきたいと思っています。

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