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[スキャナー]韓国・申源湜国防相、日米韓の安保協力は「重要」…共同訓練の枠組みは大筋合意

読売新聞 / 2024年7月24日 5時0分

 韓国の 申源湜 シンウォンシク国防相が22日、ソウルで読売新聞のインタビューに応じた。北朝鮮の脅威に対抗するため、日韓、日米韓の安全保障協力が「今ほど重要になったことはない」との認識を示した。日米韓が防衛当局間の協力を「不可逆的」なものにするため、共同訓練などに関する枠組み文書の案に大筋合意したと明らかにした。(ソウル 中川孝之、小池和樹)

制度化

 申氏は保守系の 尹錫悦 ユンソンニョル政権で2人目の国防相。日本メディアによるインタビューは初めてで約1時間に及んだ。28日に東京で開かれる日韓、日米韓の防衛相会談に出席するため、韓国国防相として15年ぶりに来日する。

 枠組み文書は、6月上旬にシンガポールで行われた日米韓防衛相会談で年内に作成する計画が明らかにされた。11月の米大統領選で同盟強化に消極的なトランプ前大統領が再選する可能性に備え、3か国協力を制度化する狙いがある。

 申氏は、韓国が作成を日米に提案したと明かし、「韓米日の安保協力の基準となる文書を作り、不可逆的に、後退できないようにしようとしている」と説明した。共同訓練や高官交流、情報共有などに関する原則を定める内容となるという。

 日米韓は6月末、海上、空中、サイバーなどにまたがる初の多領域共同訓練「フリーダム・エッジ」を実施した。申氏は、同訓練も韓国の提案で実現したとし、「北朝鮮の核・ミサイルへの対処能力を向上させた」と成果を語った。

「北の核開発は完了段階」

 日韓関係について、申氏は「地政学的な要件や安保、経済などの条件からみて、協力は不可欠だ。互いの立場が違う点もあるが、安全保障協力は異論の余地のない分野だ」と語った。

 木原防衛相との6月上旬の会談で、2018年12月の韓国艦による海上自衛隊機へのレーダー照射問題の再発防止策で合意したことにより、「韓日、韓米日の安保協力を強化する土台を整えた」と振り返った。「中断していた韓国軍と自衛隊の交流を再開し、多様な意思疎通のチャンネルを復元する」と意欲を示した。

 日韓の共通の脅威として、北朝鮮の核問題をあげた。特に開発が加速する戦術核兵器について「実戦配備は確認されていないが、開発の完了段階とみられる」と分析した。「射程には在日米軍基地がある地域も含まれており、北朝鮮が有事に核使用を試みる可能性がある」と警鐘を鳴らした。

台湾有事

 インド太平洋の安保情勢の悪化に関連し、申氏は「力による現状変更を行ってはならない。誰かが行った場合は、共同で対応しなければならない」と述べた。名指しは避けたが、中国を念頭に置いた発言だ。

 台湾有事の際の韓国の対応については、韓国軍や在韓米軍は、台湾周辺に兵力を派遣すべきではないとの考えを示した。

金正恩 キムジョンウン 朝鮮労働党総書記が、米国などの関心が台湾に集中した隙を利用して軍事的挑発を起こせば、日米が朝鮮半島と台湾海峡地域で「二正面作戦」を強いられ、韓国とともに大きな負担になると指摘した。「韓国は朝鮮半島の安定と平和をしっかり守る。それが台湾海峡地域の安定と平和のためにもなる」と強調した。

露朝接近に警戒感…弾道ミサイル提供「数十発」

 韓国の申源湜国防相は、「北朝鮮はロシアという後ろ盾を確保し、軍事技術を強化する機会を得た」と述べ、露朝の急接近に強い警戒感を示した。

 申氏によれば、北朝鮮からロシアへの武器供給が初めて確認されたのは昨年8月。北朝鮮北東部の 羅津 ラジンからロシア極東のドゥナイに向かう船舶だった。ロシアに運ばれたコンテナは7月15日時点で1万1000基以上に達し、152ミリ砲弾で520万発分となる。弾道ミサイルも「数十発程度を提供した」との見方を語った。

 北朝鮮は見返りとして食糧や石油のほか軍事偵察衛星の打ち上げに関連する技術を得たとみられるが、ロシアから得た技術は「打ち上げの成功に至るほど確実ではない」と分析した。

 露朝は6月に有事の相互軍事援助を定めた「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結した。申氏は、ロシアがウクライナで占領した地域に北朝鮮が派兵する「状況がある」と述べた。「戦闘部隊ではないとみている」と述べ、復旧作業に当たる工兵部隊の可能性を示唆した。

 「露朝は犯罪的に結託したが、中長期的には双方にとって大きな損害となる」と強調した。北朝鮮がロシアに武器などを供給することで、欧州諸国が北朝鮮を実質的な脅威として認識するようになったと指摘した。

 「北朝鮮に古い砲弾を物乞いし、自らが賛成した国連安全保障理事会の制裁に正面から違反する矛盾を犯した」とロシアを強く批判した。申氏はロシアの今後の対応次第では、韓国がウクライナに殺傷能力のある武器を提供する選択も排除しない考えを示した。

シン・ウォンシク 元韓国陸軍中将。首都防衛司令官、合同参謀本部次長などを歴任した。保守系与党「国民の力」の国会議員を経て、昨年10月から現職。66歳。

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