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パリ五輪開幕へ 戦時下に平和の尊さかみ締め

読売新聞 / 2024年7月24日 5時0分

 世界各地で紛争が続く中で、パリ五輪が開幕する。各国のアスリートらが活躍する姿を通じて、「平和の祭典」の意味を改めて考えたい。

 開会式は26日に行われる。競技は24日に始まり、8月11日まで続く。大会には、200を超える国・地域から、約1万人の選手が参加する見通しだ。

 ロシアの侵略を受けるウクライナからは、選手約140人が参加する。パレスチナの選手も、ガザ地区でイスラエルとイスラム主義組織ハマスの戦闘が続く状況下で大会に挑む。戦禍に苦しむ人々に、選手は希望の星となろう。

 ウクライナの女子レスリング選手は「国旗を高く掲げ、人々が明るい気持ちになれる瞬間をもたらしたい」と語っている。

 母国では、スポーツ施設も次々と破壊された。ウクライナのレスリングや新体操のチームは、戦火を逃れ、練習のために日本も訪れた。つらい状況でも、鍛錬を続けてきた選手らをたたえたい。

 五輪憲章は、オリンピック精神について、「平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てる」と規定している。今こそ、この精神を体現すべき時である。

 大会には、ロシアと、その同盟国のベラルーシからも、侵略を積極的に支持していないなどの条件を満たした「中立選手」が、個人の資格で30人ほど出場する。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、国籍による差別はしないという立場だが、ウクライナの選手らの心情を思うと、この対応は疑問だと言わざるを得ない。

 パリ五輪は、コロナ禍で無観客開催となった東京五輪とは対照的に、多くの観客を集めて行われる。開会式では、パリ中心部のセーヌ川を選手団が船で進む。観光名所で競技を行い、選手や観客が交流するという魅力的な計画だ。

 ただ、競技場外の広場などが会場になるため、テロや犯罪をいかに防ぐかが課題となる。当局には、厳重な警備を望みたい。

 日本からは、400人を超える選手が参加し、20の金メダル獲得を目指す。積み重ねた努力の成果を存分に発揮してほしい。

 気になる動きもある。ワールドアスレチックス(世界陸連)は今大会から、陸上の金メダリストに賞金5万ドルを贈ると発表した。

 国際競技団体は本来、競技全体の普及や振興に資金を使うべきだとして、IOCも賞金制度に否定的だ。競技団体の活動はどうあるべきか、十分な議論が必要だ。

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