クロマグロ漁 国際規制が資源を回復させた
読売新聞 / 2024年7月24日 5時0分
厳しい漁獲規制が、水産資源の着実な回復につながることを示した。世界有数の水産国である日本は、国際的な漁獲管理で、責任ある役割を果たしていってもらいたい。
太平洋でとれるクロマグロの資源管理を話し合う国際会議は、資源量の回復を受け、年間漁獲枠を増やすことで合意した。日本は、30キロ・グラム以上の大型魚が1・5倍の8421トンになる。小型魚は10%増やし4407トンとした。
年内に開く「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」で決まる。大型魚は3年ぶり、小型魚は2015年の規制導入後、初の増枠だ。来年以降に適用する。
クロマグロは、高級なすしネタや刺し身として人気が高く、日本は最大の消費国である。漁獲量が増えれば、値下がりにつながることも期待できよう。
日本は今回、大型魚は2・3倍、小型魚は30%増の増枠を求めたが、慎重な姿勢を示す国もあり、提案どおりには認められなかった。資源量の回復状況について、関係国の理解が得られるよう説明を尽くしていくことが重要だ。
海に囲まれた日本にとって、水産資源の利用と保護を両立していくことは重い課題である。
もともと太平洋クロマグロの資源量は、ピークの1960年代には10万トン以上あったが、2010年には約1万トンに激減した。日本側の乱獲が主な要因だった。
資源量の回復を図るため、日本、米国、韓国、台湾などでつくるWCPFCが厳しい漁獲規制を始めたのは15年である。
その効果は、はっきりと出ている。34年に13万トンまで回復させることを目指してきたが、22年に前倒しで約14・4万トンを達成した。国際的な漁獲規制が奏功した事例として評価できる。
一方、日本の近海では、近年、記録的な不漁に陥っている魚種が多く心配だ。日本全体の、養殖を含めた漁獲量は、昨年にはピーク時の3割にまで落ち込んだ。この30年間で、サンマとスルメイカは9割以上、漁獲量が減った。
各国の漁業者らによる乱獲だけでなく、海水温の上昇や海流の変化など、魚種ごとに様々な要因が指摘され、資源管理の難しさは増している。サンマは国際規制の効果が、はっきりと出ていない。
大切なのは、資源量の実態調査を進め、科学的な根拠に基づいて規制を議論していくことである。不漁が続く魚種については、関係国・地域で知見を共有しながら対策を練っていってほしい。
この記事に関連するニュース
-
クロマグロの“漁獲枠拡大”で合意 30キロ以上の大型は1.5倍に、30キロ未満の小型は1.1倍に 年末にかけて正式決定し2025年から適用へ
北海道放送 / 2024年7月16日 19時21分
-
大型マグロ漁獲枠、1.5倍に 資源回復受け、国際会議で合意
共同通信 / 2024年7月16日 13時39分
-
『クロマグロ』が安く買える日が来るかも!?近年は資源量が増加傾向 一方で専門家の"推し"は「知名度は低い」がお手ごろな『ミナミマグロ』
MBSニュース / 2024年7月12日 13時48分
-
クロマグロ国際会議が開幕 日本、漁獲枠拡大目指す
共同通信 / 2024年7月10日 18時34分
-
大型マグロ2.31倍増枠を 水産庁提案、7月国際会議
共同通信 / 2024年6月25日 18時0分
ランキング
-
1SNS投資詐欺、拠点のビル一斉捜索で8人逮捕 大阪府警、スマホ1800台超を押収
産経ニュース / 2024年7月23日 21時16分
-
2〈華麗なる一族、親子トップ2人が辞任〉報告書で暴かれた小林製薬のヤバすぎる製造管理体制…従業員が異変を報告も品質管理担当者は「青カビはある程度は混じる」記者会見は開かず逃げ切りか?
集英社オンライン / 2024年7月23日 20時6分
-
3睡眠時のエアコン「つけっぱなし」と「切タイマー」どっちが快適?節電できる風量は「弱」?「自動」?
RKB毎日放送 / 2024年7月23日 20時11分
-
4「県民の負託、理由にならない」 堺市の永藤市長 兵庫の斎藤知事疑惑巡り突き放し
産経ニュース / 2024年7月23日 20時17分
-
5部内パワハラ自殺、遺族が提訴 中央大フェンシング部、青森地裁
共同通信 / 2024年7月23日 19時16分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください