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咲妃みゆ「思いつめたキキが最後、どういう気持ちで飛び立っていくか確かめてほしい」

読売新聞 / 2024年7月24日 18時1分

記憶に残る初めての演劇体験は保育園児の時に見た「こんにゃく座」のオペラ「森は生きている」。「今でも全曲、歌えます。私たちの作品もお子様方の未来の記憶にふわーっと残るといいなと思います」=今利幸撮影

 唐十郎作品からブロードウェーミュージカルまで多彩な出演作で輝く女優の咲妃みゆが、別役実の童話を基にした音楽劇「空中ブランコのりのキキ」で主人公を演じる。観客からの拍手が生きがいで、そのためなら命を投げ出すこともいとわない少女、キキの心の成長を描く物語。親子で楽しめる舞台だ。(山内則史)

 表題の童話と「愛のサーカス」(「山猫理髪店」所収)、「丘の上の人殺しの家」などの要素を融合させ、劇団「快快/FAIFAI」主宰の劇作家、北川陽子が脚本化した音楽劇だ。同劇団の野上絹代が構成・演出する。

 天涯孤独のキキ(咲妃)は、空中ブランコの3回宙返りで脚光を浴びる花形。テントは大盛況だが、ほかのサーカスで誰かが同じ技を始めたら……と恐れている。「キキはアイデンティティーに思い悩む少女。拍手のありがたさを身をもって感じるお仕事をしている私も、彼女の気持ちを分かり過ぎるところがあって」

 当初は役との距離がつかめなかったというが、今は「(演出の)絹代さんのアドバイスで、感情を使って役を感じ取る作業から客観視できる段階にさしかかっている」と語る。

 舞台で別役作品に向き合うのは初めて。童話の数々、本人のインタビュー記事などを読んで準備した。「現実を違った角度から見ることのできる方なのかな、と感じた。不条理演劇を作る上で『その時、自分の中からわき上がった自然なものを大事にしていい』と話す言葉が心に残った。現実世界は分からないことだらけだけれど、全てを分かろうとしなくていいんだよと言われたようで、少しずつ不安が薄まっている状態です」

 今年2月に唐十郎作「少女都市からの呼び声」(演出・ 金守珍 キムスジン)で読売演劇大賞の優秀女優賞を受けた。唐と別役は1960年代から活躍した演劇人で、戦時中を知る同世代だ。「お二人の作品の根底には、どこかしら切なさ、悲しみが流れていると感じる。そこをメインで描かないからこそ、不思議な明るさ、激しさが、悲しさをより引き立てるんだろうなと思います」

 宝塚歌劇団雪組の元トップ娘役で、歌劇団在籍時から「誠実」を心がけてきたと言う。「高校の数学の先生がよく人生について授業の最初の5分ぐらい話してくれた。まず黒板に『誠実』と書いて話すんですが、それが私の中にずっと残っている」

 誠実でいるためには、「できない自分も認め、受け入れること」。そこは、キキにも教えてあげたい?と尋ねると、「そうですね。思いつめたキキが最後、どういう気持ちで飛び立っていくか、劇場に来て確かめてほしい」と笑顔を見せた。

 東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで8月6~18日。松岡広大、瀬奈じゅんらが出演。音楽はオオルタイチ、サーカス演出監修は目黒陽介。(電)03・5432・1515。

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