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熱中症対策、生徒死亡を教訓にAIリスク判定…専門保険の加入は過去最多9万件

読売新聞 / 2024年7月24日 11時51分

熱さ対策で使われる小型扇風機

 今夏は記録的な暑さとなり、熱中症リスクが増している。過去に起きた痛ましい事故などを教訓に、学校や企業ではAI(人工知能)によるリスク判定やリモートワークの活用などの対策が進む。

 18日午後、山形県米沢市立第二中の体育館。気温30度超の暑さの中、部活動に来た生徒らは、熱中症リスクを判定するタブレット端末に顔を映し、「ほぼ安全」を確認してから館内に向かった。男子バスケットボール部の3年男子生徒(14)は「事前にリスクが分かり、対策もしやすい」と話した。

 AI端末はポーラ化成工業(横浜市)が開発した。顔色や表情などから、熱中症が起こりやすい体調(疲労、寝不足、紅潮、発汗)かどうかをAIで推定。気温や湿度などに基づく「暑さ指数」も加味し、リスクを4段階(危険、注意、やや注意、ほぼ安全)で示す。3月から提供を始め、建設、製造業などの約200社が導入しているという。

 米沢市は今月、市内の全7中学校に試験導入した。きっかけは昨年7月に起きた市立中1年の女子生徒の死亡事故。運動部活動からの帰りに熱中症の疑いで倒れ、病院で亡くなった。市教委は「様々な対策を駆使し、命を守り抜く必要がある」と危機感を強める。

 柔軟な働き方で猛暑に備える企業もある。「熱中症対策リモートワーク推奨デー」を導入するのは、埼玉県新座市のスマホ用アクセサリー製造のトリニティ。暑さ指数が基準以上になると、社員は在宅勤務を選べる。

 導入は2022年7月。前月に会社前で高齢女性が暑さで倒れ、社員が救助する出来事があり、星川哲視社長は社員にも「身に迫る危険」が及んでいると痛感、推奨デー導入を決めた。22、23年の実施は計3日だったが、今年はすでに4日に上り、同社広報は「今夏は災害級の暑さ。社員の健康を第一にしたい」と強調する。

手持ち扇風機は35度以上で「逆効果」

 熱中症を防ぐには、個人の備えも不可欠だ。近年は屋外で手持ちの小型扇風機を使う人が増えているが、製造する「エレコム」(大阪市)は「35度以上だと逆効果」と注意を促す。熱風で汗の蒸発が早まり、かえって熱中症になりやすいという。

 熱中症専門の保険も注目されている。住友生命保険の子会社が2022年に提供を始めた「熱中症お見舞い金保険」は、1日または1か月単位で加入でき、入院に最大3万円、点滴治療に同1万円が支払われる。加入件数は22年約6・3万件、23年約5・6万件だったが、今年はすでに約9万件に上るという。

熱中症警戒アラートは倍増

 今年に入り、環境省と気象庁による「熱中症警戒アラート」の発表数(4月24日~7月21日)はのべ363件に上り、昨年同期間(のべ195件)よりほぼ倍増している。総務省消防庁のまとめでは、熱中症の救急搬送(4月29日~7月21日)も3万4547人で、昨年同期間(3万1502人)を上回るペースだ。

 今後も異例の暑さが続く見通しで、気象庁は22日、西・東日本では8月5日まで10年に1度程度の著しい高温になる可能性が高まっているとして「早期天候情報」を発表。以降も平年より暑くなると見ている。

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