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御嶽山噴火で同僚亡くした男性、3度の挑戦で火山マイスターに認定されデビューへ…「風化防ぎたい」

読売新聞 / 2024年7月24日 15時59分

「守り神」として譲り受けた祈祷所の廃材を手にする里見さん(20日)

御嶽山 おんたけさん (長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火で一緒に登山していた同僚6人を失った神奈川県の男性が、主に火山防災の啓発を担う「御嶽山火山マイスター」(長野県など認定)に合格し、27日の月命日に山頂で6人に報告する。「噴火で同僚を失った自分だからこそ、やるべきことがある」。28日はマイスターとしてのデビューで、山の安全を訴える。(飯田通信部 柳沢譲)

 男性は、神奈川県綾瀬市の会社員里見智秀さん(57)。2014年9月27日、里見さんは勤務先の同僚8人と御嶽山の山頂・剣ヶ峰を目指した。登頂直後の午前11時52分、突然の噴火。噴石などで同僚5人が死亡し、1人は今も行方不明だ。63人の死者・行方不明者を出した噴火から、今年で10年になる。

 噴火から2年間、里見さんは毎月の月命日に必ず自宅から片道約260キロを運転し、山麓で同僚たちを悼んだ。その後も、27日が週末にあたるなど都合がつけば訪問し、18年9月に山頂部への入山規制が解除されてからは、秋を中心に山頂で慰霊してきた。

 一方、噴火から生き延びたからこそ火山防災に取り組みたいとの思いを募らせた。火山防災教育や御嶽山の自然などを伝える同マイスターの認定を目指し、3度目の挑戦となった今年3月に合格した。「あの日の山頂付近の様子を伝え、慰霊や御嶽山の観光振興にも力を注ぎたい」と話す。

 噴火したあの日は、好天だった。「噴煙が見えたからとっさに山頂にあった(神社の) 祈祷 きとう所の軒下へ逃げ込んで命拾いできた」。里見さんは、祈祷所が建て替えられた際に廃材を譲り受け、登山の「守り神」として自宅で大切に保管している。廃材は噴火の教訓でもある。

 御嶽山は7月1日に長野県側が山開きした。マイスターとして初めての活動になる28日は、数人のマイスターと同県木曽町の登山口で入山者にチラシを配布するなどして安全な登山を訴える予定だ。

 里見さんは今後、噴火からの生還者でネットワークを作り、安全面に関する情報発信を行うことを検討しており、「災害の風化も防ぎたい」と意欲的だ。

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