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「ポイント経済圏」戦国時代に突入! 「6強」生き残るのはどこか? 「オトクに活用する方法」専門家がアドバイス

J-CASTニュース / 2024年7月24日 20時2分

「ポイント経済圏」戦国時代に突入! 「6強」生き残るのはどこか? 「オトクに活用する方法」専門家がアドバイス

どこのポイントで決済するとオトクか?

2024年4月にVポイントがTポイントを統合してから7月で3か月余。ポイントをめぐる「経済圏6強時代」が到来、競争が激化しているが、どこの人気が高いのか。

モバイル専門の市場調査を行うMMD研究所(運営元はMMDLabo、東京都港区)が2024年7月22日に発表した「2024年7月ポイント経済圏のサービス利用に関する調査」によると、意識して使われている人気1位は楽天経済圏だが、Vポイント経済圏も4位に浮上した。

しかし、総合満足度ではVポイント経済圏は最下位の6位だ。どこに課題があるのか。経済圏競争は今後どうなるのか。調査担当者に聞いた。

活用度の人気の高さでは「楽天」がダントツだが...

レンタル事業TUTAYAの運営会社が展開してきた共通ポイントの先駆け「Tポイント」と、三井住友フィナンシャルグループの「Vポイント」が統合され、2024年4月22日から、新しいVポイントのサービスが始まった。

近年、携帯電話大手が展開するポイント経済圏が存在感を高めるなか、統合を通じて巻き返しが図れるか、注目されていた。

MMD研究所の調査(2024年7月5日~8日)は、予備調査では18歳~69歳の男女2万5000人が対象。本調査ではドコモ経済圏、au経済圏、PayPay経済圏、楽天経済圏、イオン経済圏、Vポイント経済圏の6つの経済圏のメイン利用者2500人を対象に詳しく聞いた。

まず、現在活用している共通ポイントを聞くと、上位に「楽天ポイント」「PayPayポイント」「Vポイント」が並んだ。その中で最も活用している共通ポイントは「楽天ポイント」「PayPayポイント」「dポイント」の順で、「Vポイント」は5位だった【図表1】。

ポイント経済圏を意識してサービスを利用している人は61.5%だった。「最も意識しているポイント経済圏」を聞くと、「楽天経済圏」がダントツで、次いで「PayPay経済圏」「ドコモ経済圏」と続き、「Vポイント経済圏」は4位となった【図表2】。

ポイント経済圏メイン利用者2500人に、「経済圏」を意識し始めたきっかけを聞くと、興味深いのはVポイント経済圏にだけ「証券口座」が上位に入ったことだ【図表3】。

最後に、ポイント経済圏メイン利用者に「総合満足度」を聞いた。「満足」と「やや満足」を合わせた割合は、イオン経済圏(77.2%)が最も高い。次いで、PayPay経済圏(76.4%)、楽天経済圏(72.2%)と続き、Vポイント経済圏(63.2%)は最下位の6位だった【図表4】。これはいったい、どういうわけか。

Vポイントが「共通ポイントの先駆け」Tポイントを統合した理由

J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったMMD研究所の担当者に話を聞いた。

――そもそもですが、Vポイントと、Tポイントが統合した背景と狙いは何だったのでしょうか。

担当者 Vポイントは有効会員数が約2000万人と、ほかのポイントサービスに比べてやや少なく、知名度の低さが挙げられていました。

一方、Tポイントは、約7000万人の有効会員数を誇る共通ポイントの先駆けですが、パートナーや加盟店の減少が響き、ほかの共通ポイントの乱立も加わって希少性が薄れ始めていました。

強みはありながらも希少性が低下していたTポイントと、強みを生かしきれていないVポイントの思惑が一致し、Vポイント側の会員数増加と、Tポイントの加盟店の拡大につながったわけです。それが狙いです。

――MMD研究所では、両者の統合前の2024年1月にも「経済圏調査」をしています。その時の「最も活用しているポイント」ではVポイントは8位、Tポイントは5位でした。今回の調査ではVポイントは5位です。この結果はズバリ、統合は成功したといえるのでしょうか。

担当者 Vポイントは知名度が課題であったのに対し、Tポイントの強力な会員基盤と統合したことにより知名度向上につながったため、統合は成功したように思います。

しかし、ダントツの1位の楽天ポイントが33.7%であるのに対し、Vポイントは6.6%にとどまっています。知名度が上がったものの、消費者が実際に積極的に利活用しているわけではないことが示され、活用促進が今後の課題になっていくと考えます。

Vポイントの課題は、「サービスの少なさ」「ポイントの活用度」

――ところで、ポイント経済圏を意識し始めたきっかけとして、Vポイント経済圏では、「証券口座」というほかの経済圏上位には見られない項目が入っています。これは、どういうことでしょうか。ほかの経済圏との使われ方に違いがあるのですか。

担当者 証券会社として口座開設数トップを誇るSBI証券は、デジタル金融サービスを強固にするため、SMBCグループ(三井住友ファイナンシャルグループのマスターブランド)との連携を強化。2020年にはSMBCグループはSBIホールディングスの筆頭株主となりました。

SBI証券では、Vポイントを活用したサービスを提供しています。こうしたつながりを消費者が理解し、モバイル通信サービスを持たない金融基盤の経済圏としての強みが活かせている結果かと思います。

また、新NISAの開始もあり、消費者の中で投資や資産運用への関心が高まっていることも、要因として挙げられます。

――なるほど。そうした背景があるわけですか。

担当者 しかし、Vポイントのきっかけ1位が「ポイントカード」で37.6%、2位が「クレジットカード」で23.2%なのに対し、「証券口座」は7.6%にとどまっています。

Vポイント経済圏がほかの経済圏のきっかけの上位にあるような「モバイル通信」や「ECサイト」「QRコード決済」のサービス提供を行っていないことから、「証券口座」が3位に上がらざるを得なかったことも要因の1つです。

SMBCグループの金融サービスの強みを活かして経済圏利用を促進させられるため、ほかの経済圏よりも、金融サービスの利用にかぎった使われ方をしやすいのではと考えます。

――ただ、総合満足度をみると、「イオン経済圏」が1位、「PayPay経済圏」が2位で、「Vポイント経済圏」は6位という結果です。「Vポイント経済圏」の課題はどこにあるのでしょうか。

担当者 Vポイント経済圏の課題として挙げられるのは、「サービスの少なさ」「ポイントの活用度」にあるかと思います。

「サービスの少なさ」は、金融サービスが主な会員基盤になるため、ポイントを活用できる場所が少ないことが挙げられます。ほかの経済圏では、金融サービスを強化しているため、Vポイント経済圏の金融の強みが薄れる可能性も十分にあり得ます。

ポイントを活用できる場所が少ないと、満足度の評価をするにも金融に偏った評価になってしまうことも考えられます。

――「ポイントの活用度」の課題とは何でしょうか。

担当者 今回の調査では、「最も活用している」順位ではVポイントは5位で、割合は6.6%です。まだ、利用者には「最も活用している」といえるほどの積極性がないのではないでしょうか。

VISAブランドを生かして特定サービス利用に絞らずにVポイントを貯められるメリットは大きいですが、その認知が追い付いておらず、ポイントが貯まることを意識して利用するには至ってないのではと考えます。

ポイントは貯めるだけではなく、お金の代わりに使おう

――今後、「ポイント経済圏」の世界はどうなっていくでしょうか。

担当者 「最も意識している経済圏」でトップとなった楽天経済圏は、ECやクレジットカードから参入して現在の地位を確立し、モバイル通信サービスにも力を入れています。6月27日にはプラチナバンドで商用サービスを開始しました。モバイル通信以外での強みとの連携を進めています。

PayPay経済圏では、PayPay、Yahoo!などの乱立したサービスの中で強いサービスに絞る統廃合を行っています。ドコモ経済圏ではAmazonがdポイント加盟店になり、同サイトでのショッピングでdポイントが貯まるようになりました。

Ponta経済圏ではローソンとのTOBを発表し、実店舗を利用したサービス提供にも力を入れています。ポイント経済圏の競争は、「ポイント還元の積極性」が受け入れられる鍵になると思いますので、消費者は各社の施策を見極めつつ取捨選択をしていく必要があります。

――なるほど。「ポイント経済圏」の戦国時代に入っているわけですね。どこがオトクで勝つか、よく研究しておかないと。

担当者 円安や物価高騰により、オトクであることをより意識している昨今、ポイントを活用した生活がより身近になっていくと考えます。

今後はポイントとお金の差分も減っていき、ポイントを貯めるだけではなく積極的にお金の代わりとして使っていく人が増えることも考えられます。

特に2024年は経済圏に対する動きが白熱していますが、各社の戦略がどのように寄与し消費者の生活を豊かにしていくかが勝敗を決めると考えます。MMD研究所では、今後も通信を基盤とした金融サービスの拡大についても調査を行う予定ですので、ぜひお楽しみにお待ちください。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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