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近隣自治体で「若い住民の奪い合い」に…出生数増えても「自然減」加速で追いつかず

読売新聞 / 2024年7月25日 14時16分

 総務省が24日発表した住民基本台帳に基づく人口で、日本人は過去最大の減少となった。各自治体は子育て施策の充実などで若い転入者を増やして出生数の増加につなげようとしているが、加速する人口減に歯止めをかけられていない。(水戸支局 成海隆行、前橋支局 乙藤秀行)

 茨城県南部の阿見町は、転入が転出を上回る「社会増」が445人で、全国の町村で最多だった。

 町内では近年、JR常磐線の駅や圏央道のインターチェンジ周辺で宅地開発が進み、首都圏への交通の便の良さなどから子育て世帯を中心に移住が進む。子ども医療費無料や病児・病後児保育など子育て支援策も充実させ、人口は昨年5万人を突破。町は市制施行の準備もしている。

 2年前に同県北茨城市から引っ越した会社員の男性(26)は「どこに行くにも便利で暮らしやすい」と語り、妻で看護師の女性(27)も「安心して子育てできる」と話す。

 ただ、茨城県全体では1341人の「社会減」で、転出者の方が多い市町が目立つ。208人の社会減だった県東部の鉾田市の横田清泰・副市長は「子育て支援や移住者の受け入れ策といった近隣間の競争が激しくなり、住民の奪い合いになっている」と指摘する。

 人口減対策を含めて政府が2014年に始めた地方創生の取り組みは今年で10年を迎えた。全国で移住者増加などに向けた施策の充実が図られ、成功事例も出ているが、死亡数が出生数を上回る「自然減」は加速度的に進み、社会増が目立ちにくくなっているのが現状だ。

 民間有識者らでつくる「人口戦略会議」が4月に公表した報告書で鉾田市は、50年には若年女性人口が50%以上減り「消滅可能性がある」と指摘された。

 社会増が進む阿見町ですら、50年の若年女性人口の減少率は20~50%に及ぶと予測される。千葉繁町長は地元出身の若者の流出に頭を痛めており「進学などで町外に出ても、いずれ町に戻って定住してくれる施策を検討したい」と語る。

 中央大の松浦司准教授(人口経済学)は「移住者の奪い合いは必ずしも悪いことではない」とした上で、「社会増の状況をうまく活用して自治体間連携を進めて地域全体の活性化を図り、出生数増につなげるべきだ」と指摘している。

外国人増加続く

 一方、日本人とは対照的に、国内の外国人数は増加の一途をたどっている。

 都道府県別にみると、人口に占める外国人住民の割合は、東京都をトップに、愛知県、群馬県と続く。特に、群馬県大泉町は外国人が8306人と全国の町村で最も多く、自然増も73人と最多だった。

 同町では1990年代以降、南米系外国人の移住が進み、近年は技能実習生なども増えたことで人口に占める外国人は2割と、定住化も進む。町は外国人住民への対応を充実し、来年度から県内で初めて外国人の正規職員を採用できるようにした。

 外国人の増加率では熊本県がトップとなり、前年比24・18%の増だった。台湾積体電路製造(TSMC)の工場が建設された熊本県菊陽町では、外国人の社会増が455人と目立った。

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