珍しい信号機「UFO」3基が仙台から撤去、なぜこんな形になったのか…四方に赤や緑の光放つ
読売新聞 / 2024年7月25日 17時14分
住宅街の宙に浮かび、四方に赤や緑の光を放つ姿から、「UFO」と呼ばれていた全国的にも珍しい信号機3基が、仙台市内から撤去されている。設置から40年が過ぎ、老朽化が進み、メンテナンスも難しくなった。長年親しんできた地元住民からは惜しむ声も上がっている。(奥田樹)
正式名称は「懸垂型交通信号機」。1・5メートル四方の外側に車両用、内側には歩行者用の信号が取り付けられ、交差点の高さ5メートルほどからつり下げられている。名古屋電機工業(愛知県あま市)が開発し、1975年に名古屋市中区大須の交差点に第1号を設置した。
どうしてこんな形にしたのか。同社の社史によると、愛知県内では70年代に細い道路での出合い頭の事故が多発していたが、排水溝や水道管などが張り巡らされ、信号機設置に必要な支柱を立てる場所が少なかったという。
愛知県警から信号機の開発を依頼され、欧州を視察した社員がワイヤーでつり下がった信号機を思い出した。一般的な信号機は8本の支柱が必要になるが、UFO型ならば1本で済む。「狭い路地でも取り付けられる利点があった」と同社経営企画室の大西政浩さん(43)は話す。愛知や宮城のほか、群馬など全国で十数機は設置されたという。
しかし同社は信号機の製造から撤退し、機材の交換はできなくなった。UFO型は白熱電球だが、寿命が長い発光ダイオード(LED)を使用した信号機への切り替えも進み、徐々に撤去されたという。
宮城県内では仙台市の3基が最後となり、青葉区角五郎の1基は22日に撤去された。若林区木ノ下、太白区長町の残り2基も25日までに姿を消す予定で、いずれもLEDの信号機になる。
大西さんは「UFOと愛着を持って親しんでもらえたと思うだけに名残惜しい。長く地域の安全を見守ってきたことは誇らしく思う」と話した。
22日に撤去の様子を見守った近くの高校教諭(46)は小学生の頃、友だちとの集合場所にしていたといい、「貴重な信号機に見守られて生活していたんだ」としみじみと語った。近くの公務員の男性(48)は「最後までよく頑張ってくれたと思う。ご苦労さま、ありがとうと伝えたい」と話した。
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