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パリ五輪で歴史的建造物を活用、開会式に移民系人材を起用し「多様性」を演出

読売新聞 / 2024年7月25日 21時12分

 【パリ=梁田真樹子】26日に開幕するパリ五輪は競技や各種プログラムで、コンコルド広場などパリ中心部の歴史的な建造物を会場として活用する。新しい施設の建設をなるべく抑えながら「誰もが思い浮かべるパリの姿」をアピールする。フランスで増加する移民系人口の増加を背景に「多様性」を演出する狙いもある。

 18世紀のフランス革命の舞台となったコンコルド広場は、今大会で初めて採用されたブレイキン(ブレイクダンス)や、スケートボードなどアクションスポーツ4競技が実施される。1889年のパリ万博の際に建設されたエッフェル塔の周辺では仮設の競技会場を設けてビーチバレーなどが行われ、1900年のパリ万博の展示会場として建てられたグラン・パレでは、テコンドーなどが実施される。

 パリのピエール・ラバダン副市長は「歴史的な建造物を比較的新しい競技の会場として使うことで、観客は特別感のある楽しみ方ができるだろう」と期待する。

 ただ、パリ五輪は移民の増加を背景に、フランス社会の「分断」が深まるなかで行われる。昨年6~7月には、パリ郊外でアルジェリア系の少年が警察官に射殺された事件をきっかけに、移民の子弟を中心とする暴動が全国に広がった。

 移民系は、人口の約3割を占める。宗教的な差異や経済格差から疎外感を募らせる若者は少なくない。仏外務省のサミュエル・デュクロケ・スポーツ担当大使は「社会に反感を抱くような若者も巻き込み、国を団結させたい」と語る。

 コンコルドはフランス語で「調和」を意味し、エッフェル塔は普仏戦争からの「復興」の象徴だ。セーヌ川で行われる26日の開会式は、モロッコから移住した女性作家が式典の構成に関わるほか、西アフリカのマリ出身でパリ郊外に移住した女性歌手が登場する見込みだ。移民系の若者も大会に親しみを感じられるよう意識した起用とみられる。

 ただ、コートダジュール大学のイバン・ガストー研究員は「フランスには歴史を内向き志向でとらえる層と、多様な人々を受け入れてきたことを誇る層が存在する。その間の緊張関係は高まっている」と解説する。

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