履正社、鮮やか足攻…打力はないが磨いた武器で大勝を演出

６回、２塁への盗塁を決める履正社・村田

　全国高校野球地方大会は２５日、岩手大会では花巻東が競り勝ち、昨夏に続いて甲子園切符をつかんだ。鳥取城北（鳥取）はサヨナラ勝ちで、熊本工（熊本）は今春選抜出場の熊本国府を破り、それぞれ甲子園出場を決めた。日本航空石川（石川）や、６大会連続の出場を目指した近江（滋賀）は準決勝で敗れた。

履正社９―０大産大付（７回コールド）

　今年の履正社に、昨年のような打力はない。ただ、代わりに磨いた武器が大勝を演出した。

　二回、一死から６番村田が右前打で出塁し、二盗を決める。続く辻が四球で出ると、さらに仕掛けた。８番武田への初球で重盗し、武田の中前打で一気に２人が生還。その武田も二盗し、次打者の内野ゴロで三塁に進むと、続く近沢のゴロが敵失を誘って３点目を挙げた。六回にも先頭で出塁した村田の二盗などで流れを作り、６点を奪って試合の大勢を決めた。

　今チームには昨夏の甲子園で２試合連続本塁打を放った森田大翔のような長距離砲はいない。低反発バットも導入され、多田監督は機動力に重きを置いた。選手は練習試合を通じ、スタートを切るタイミングなどを自主的に磨いてきた。

　強打で全国制覇した２０１９年の夏、甲子園での盗塁は０だった。今夏は初戦から５試合すべてで５盗塁以上。「打てない時にどう点を取るかを考えている」と主将の村田。新たな武器を手に、次戦は大阪桐蔭と戦う。（豊嶋茉莉）