高齢者の労災 身体機能の低下を考慮したい
読売新聞 / 2024年7月26日 5時0分
高齢者の就労が進むにつれ、労働災害に巻き込まれるシニアの働き手も増えている。官民で協力し、誰もが安心して働ける環境を整えたい。
65歳以上の労働者は昨年、914万人に上り、過去最多となった。この20年でほぼ倍増した。人手不足を背景に、定年延長や再雇用の制度を設ける企業が増え、意欲のあるシニアが働きやすくなったことが影響しているようだ。
一方、昨年、労災で死傷した60歳以上の人は3万9702人で、こちらも過去最多を記録した。8年連続で増加している。
全労働者に占める60歳以上の割合は18・7%だが、労災に遭った人は、60歳以上が29・3%を占めている。加齢による身体機能や体力の低下が、労災の発生率を高めてしまっているのではないか。
政府の推計では、2040年には全労働者に占める60歳超の割合が30%近くまで上昇するという。高齢者の労災対策は急務だ。
60歳以上の労災で最も多いのは「転倒」で、次いで「転落」「無理な動作」の順となっている。職場のわずかな凹凸に
けがをして高齢者が長期間にわたって休めば、人手不足の企業にとっては損失となろう。
高齢者を雇っている企業は、床には必要以上に物を置かず、重いものは2人以上で運ぶなど、基本的な対策を徹底してほしい。
働く高齢者が、日頃から自分の体力を把握することも大切だ。
鉄鋼大手のJFEスチールは主に工場勤務の従業員を対象に、目を閉じて片足で立っていられる時間や、大股で歩いた時の長さを測り、転倒しやすさを点数化して予防に
政府はこうした取り組みを紹介し、広げていく必要がある。
高齢者の労災は増えているが、過労死に関しては労災と認定されにくい、という指摘がある。
そもそも高齢者の労働時間は短くなりがちだ。これに対し、労働基準法に基づく協定で、過労死ラインは、疾患の発症前1か月間の時間外労働が「おおむね100時間」などと定められている。
このため労働時間が短い高齢者の場合、「過労死ライン」に届かないケースが多い。
高齢者に、現役世代と同じ過労死ラインを適用するのは妥当とは言えまい。残業時間にとらわれず、労働条件や仕事上の負荷を個別に判断して、柔軟に労災を認定していくべきだ。
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