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なでしこ、イニエスタのような小柄なテクニシャンに翻弄される…ペナルティエリアに8人いても失点…[編集委員の目]

読売新聞 / 2024年7月26日 4時5分

 パリオリンピックのサッカー女子は25日(日本時間26日午前0時)から競技がスタート。1次リーグC組の日本代表(なでしこジャパン、世界ランキング7位)はナントでスペイン(同1位)と対戦し、1-2で逆転負けを喫した。

 残念だが、実力差通りの結果だろう。先制した日本だが、現世界女王の前に逆転負け。初戦で勝ち点を挙げることはできなかった。

 序盤は好調だった。開始早々、中央の田中美南から藤野あおばへスルーパス。ノーマークの藤野が放ったシュートはGKにはじかれたが、昨年のワールドカップ(W杯)で次々とカウンター攻撃を決めて、4―0で快勝した時を思わせるような攻撃だった。13分にはロングパスからの速攻にスペインがファウル。ここで得たFKを藤野が鮮やかに直接決めて先制した。

 ただ、スペインは落ち着いていた。その中心は昨年のバロンドール(世界最優秀選手)に輝いたアイタナ・ボンマティ。22分、ゴール前に飛び出して短い縦パスを受けると、GK山下杏也加をかわして軽やかに同点ゴール。74分にはペナルティーエリア内に縦パスを入れ、ここからマリオナ・カルデンテイの勝ち越しのゴールが決まった。

 パスを受けてよし、出してよし。1メートル63と小柄で細身だが、後半途中に見せたクルクルと小回りのきくドリブルなど、そのテクニシャンぶりは、同じFCバルセロナ出身の元J1神戸MFアンドレス・イニエスタを思わせる。

5バックが逆効果

 前半から彼女を中心としたパスワークに苦しめられた日本は後半、5バック気味に構えてこれを分断しようとしたが、かえって自陣深くに押し込まれる形となって、ハーフラインすら越えられない時間帯が長く続いた。68分に清水梨紗が負傷で退いたこともあり、決勝点の場面では、ペナルティーエリア内に8~9人もの選手がいたが、それでもスペインの巧みな攻撃を防ぎ切れなかった。

 スペインのシュート数12に対し、日本は3分の1の4本。ようやくボールを奪っても、守備で消耗しているせいかパスミスが目立ち、後半は50分にセットプレーからの流れで、途中出場の浜野まいかがシュートを放った場面ぐらいしか、好機がなかった。

清水梨紗のけが心配

 改めて力の差を見せつけられた形の敗戦だが、昨年のW杯優勝国に1点差なら、1次リーグ突破の可能性はまだまだ十分ある。主将の熊谷紗希が言うように、「悔やんでいる暇はない」。中2日でブラジル、ナイジェリアとの対戦が続く。この2戦で確実に勝ち点を挙げることが必要になる。

 それにしても心配なのは、負傷した清水の状態だ。相手との1対1の場面で膝が内へ入ったような状態で倒れ、自ら続行は不可能と意思表示して、担架で運ばれた。これまで日本の右サイドは、3バックの布陣でも4バックでも、圧倒的な運動量を誇る清水が、常に担当してきた。新シーズンからはイングランドの強豪マンチェスター・シティーへの移籍も決まっている。ケガの場所が場所だけに、今後の出場は厳しいだろう。

 この日は交代で高橋はなが起用されたが、本来はセンターバックが主戦場だ。上下動を繰り返して攻守に絡むタイプとしては、終盤に出場した守屋都弥が有力か。奮起を期待したい。

かわしま・けんじ 1963年、東京都生まれ。87年入社。宇都宮支局、地方部を経て91年に運動部。97~2001年にはロンドンを拠点に主に欧州のスポーツを取材。運動部デスク、部長を経て、14年から編集委員。17~21年は、東京オリンピック・パラリンピック準備室長を兼務した。サッカーのワールドカップは2022年カタール大会など男女合わせて計7大会を現地取材。

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