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過去4度はメダル逃す、不惑の大ベテラン「最後の大逆転を」…新種目で初の表彰台目指す

読売新聞 / 2024年7月27日 15時53分

道具の状態を確かめる富沢選手(6月5日、神奈川県葉山町で)

 パリ五輪でセーリング男子iQフォイル級に出場する新潟県柏崎市出身の富沢慎選手(40)(トヨタ自動車東日本)は、5度目の五輪となる大ベテラン。だが過去の五輪でメダル獲得はない。「相手は格上。最後の大逆転ではないが、全部ひっくり返してやろうと思う」と快挙を目指し、28日の競技に臨む。(徳井観)

 6月5日、神奈川県葉山町の葉山港で行われた公開練習。富沢選手は手慣れた動作でボードなどを組み立て帆を上げた。後輩選手らと列を作って風に乗り、徐々にスピードを上げると、水中翼を搭載したボードは水面に浮き、空中を泳ぐように進んだ。この日は港の周辺を何度も往復し、道具の調子を丁寧に確かめた。

 iQフォイル級は、RSX級に代わってパリ五輪から実施される新種目。ボードを水面に浮かせることで水の抵抗が少なくなり、より高速で滑走する。時速は最高で約60キロに達する。

 大きな変更点は道具の違いだ。ボードは従来に比べ幅が広く、長さが短い。コンパクトで素早い動作が可能になる一方、自重でバランスを取る高いコントロール技術が求められる。富沢選手は「精密機械を扱っているような感覚」と表現する。

 富沢選手は小学生の時に父の仁さんの影響でウィンドサーフィンに触れて以来、放課後は柏崎の海で遊ぶのが日常だった。中学で競技レースに出場し始めてからは第一線で結果を出し続けた。2008年の北京五輪では男子RSX級で10位に入り、「国内第一人者」の地位を築いた。

 5大会連続で五輪に出場する大ベテランでも、新種目への適応は一筋縄ではいかなかった。当初は道具の扱いやスピードの速さに慣れず、国際大会で結果が低迷する苦しい時期が続いた。

 そこで、船体の操作を安定させようと、体重を2年間で約20キロ増やし、90キロに増量した。妻が炊く魚沼産コシヒカリが力になった。昨年11月からは、東京五輪監督の中村健次氏(60)をコーチに迎えて技術を磨いた。4月にフランスで行われたパリ五輪最終予選で劇的優勝を果たし、諦めかけていた大舞台への切符を手にした。

 富沢選手は、「自分が勝つと誰も思っていないと思う」と今大会を展望する一方、新種目のため全選手が初めて五輪の舞台で競うことから「最後までチャンスは眠っている」と勝機をうかがう。

 中村コーチも「マインドの切り替えなどで成長している。思い切ったレースができればかなりいける」と期待を込める。

 富沢選手は「最後まで諦めずに、全員が熱狂してくれるようなレースをしたい」と意気込んでいる。

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