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ブラジル、日本人移民ら迫害を「人権侵害」と認め初の謝罪…戦後79年経て名誉回復

読売新聞 / 2024年7月26日 14時30分

25日、ブラジリアで、ブラジル政府恩赦委員会のアルメイダ委員長(右)から謝罪を受ける日系人ら=大月美佳撮影

 【ブラジリア=大月美佳】第2次大戦後の日本人移民らの迫害を巡る問題で、ブラジル政府の諮問機関である恩赦委員会は25日、独裁政権下で起きた一連の行為を人権侵害と認めて初めて謝罪した。戦後80年近くを経て、世界最大を誇る日系コミュニティーの名誉回復が図られた。

 首都ブラジリアで開催された同委員会は、12人の委員が審議した結果、全会一致で日本人移民らの訴えを全面的に認めた。申し立てていたのは、日系人迫害のドキュメンタリー映画を製作した日系3世オクハラ・マリオさん(49)と、多くの移民が属したブラジル沖縄県人会。迫害の認定と謝罪を求め、経済的賠償は要求していない。

 訴えの主な内容は、大戦中にサンパウロ州サントスの日本人移民約6500人がスパイの疑いで24時間以内にブラジル各地へ強制退去させられた排斥と、戦後も日本の勝利を信じた172人を「狂信的なテロリスト」とみなして同州沖のアンシエッタ島監獄に収監した事案だ。

 審議では、ブラジル当局による取り調べの際、国旗の「踏み絵」を拒んだため、収監され、拷問されて自殺した青年の事案などが報告された。エネア・アルメイダ委員長は「ブラジル国家を代表し、あなたたちの祖先が受けた迫害や残虐行為、人種差別について謝罪したい」と述べた。最後に日本語で「ブラジル政府は先祖迫害の許しを求めます」と語った。

 審議は申し立てた日系人約100人が傍聴し、日本とブラジルの国旗を振って喜び合った。

 沖縄県人会の1世宮城あきらさん(86)は「日本人移民の歴史を書き換える画期的な英断だ」。オクハラさんも「私たちの両親や祖父母に対して行われた残虐行為を消し去ることはできないが、これらの悲しいエピソードから学び、再び起こらないようにすることはできる」と語った。

 大戦中の戦後補償では、日系人が強制収容された米国やカナダの政府が1988年に謝罪し、賠償金を支払った。南米ペルーでも2011年、日系人の強制連行を政府が謝罪している。

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