「パトカーが流された」「警察活動が困難になった」…救助出動の警察官２人と連絡取れず

　記録的な大雨に見舞われた山形県と秋田県では一夜明けた２６日、甚大な被害が明らかになっている。山形県新庄市では最上川支流の新田川付近で、救助要請で出動したパトカーが流された。近くの水田で上下が逆さまとなった状態で見つかったが、いずれも新庄署の２０歳代の男性巡査部長と男性巡査長が行方不明になっている。

　県警によると、２人は２５日午後１１時２５分頃、「車が流された」との男性からの１１０番の救助要請を受けて出動。その約２０分後、巡査長から「パトカーが流された」と通報があり、さらに約３０分後には巡査部長から「警察活動が困難になった」という内容の１１０番があった。それを最後に２人と連絡が取れなくなった。

　現場では、パトカー以外にも、３台ほどの車が水田で水没しているが、乗っていた人は救助された。

　県警の鈴木邦夫本部長は２６日未明、県庁で報道陣の取材に応じ、「痛恨の極み。不明の２人を全力を挙げて捜索している」と話した。

　近くに住む５０歳代女性は「目が覚めて外を見たら、田んぼの中に車が浮いていた。涙が出るくらい怖かった。車に乗っていた人が無事でいてほしい」と話した。

　自衛隊は２５日午後３時半過ぎに山形県知事から災害派遣要請を受けて、陸自神町駐屯地（山形県東根市）の初動対処部隊約４０人が車両９台で同県酒田市役所に出動した。２６日午前の時点で、隊員約４３０人に加えて陸自と空自のヘリコプター計５機を投入し、人命救助や上空からの情報収集にあたっている。

　酒田市八幡地区では、道路の崩落などで一部の集落が孤立し、停電も発生。陸自や県警などが同日午前５時頃から救助活動を本格化させた。水がひいて泥や流木などに覆われた道を徒歩で集落に向かい、数軒の民家から高齢者らを背負って助け出した。

　同地区の８０歳代女性は「水道も電気も使えなくなり、一人で夜を過ごすのが怖かった。まさかこんなことになるとは」とぼうぜんとした様子で話した。

　秋田市では、２５日に親戚の家を訪れるために外出した同市の男性（８６）が行方不明となった。２６日午前に雄物川近くの水路で発見され、死亡が確認された。