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敦賀原発不許可 再稼働阻む「活断層」と不信感

読売新聞 / 2024年7月27日 5時0分

 再稼働を目指す原子力発電所が、初めて「不合格」となる。廃炉を迫る重い決定であり、日本のエネルギー政策への影響は避けられない。

 東日本大震災後に停止した日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)について、安全審査を行ってきた原子力規制委員会の審査チームが、再稼働を認めないとする判断を示した。

 原発敷地内には「K断層」と呼ばれる断層が早くから見つかっている。これが、将来、地震を起こす可能性のある活断層かどうか、また、2号機の直下まで延びているかどうかが問われていた。

 規制委はこの点について、「可能性は否定できない」とした。

 震災後に定められた新規制基準は、活断層が原子炉直下にある場合、原発の運転を認めていない。規制委はこのルールを厳格に適用して判断したと言える。

 原電が2015年に安全審査を申請してから、既に9年近くが経過している。原電と規制委の間ではこれまで、断層の評価を巡る本質的な議論よりも、書類の不備など形式的な問題で時間を空費した感が否めない。

 19年には原電が提出した資料に多数の誤記が見つかった。さらに20年にはボーリング調査の資料を規制委に無断で書き換えたことが発覚し、審査が中断した。活断層の議論が再び本格化したのは、昨年9月以降のことだ。

 再稼働を認めないとする規制委の判断には、不手際を重ねた原電に対する不信感も大きく影響したのではないか。

 原電は規制委の判断を不服として、今後も追加調査を続け、安全審査の再申請や書類の修正を行いたいとしている。説得力のある新たなデータを集められるかが焦点となるだろう。

 一方、規制委は高度な安全性を求める立場から、これ以上の審査の継続には否定的だ。だが、敦賀原発の地下構造は複雑で、活断層がないことを完全に立証するのは難しいとされる。

 規制委と原電は対話を続け、双方とも納得できる科学的な結論を得ることが求められる。

 原発は、既に24基が廃炉となり、27基について審査が行われてきた。このうち17基が合格、12基が再稼働し、残る5基も安全対策工事などを進めている。北陸電力志賀原発など10基は審査が続く。

 運転可能な原発数の見通しを得ることは、日本のエネルギー政策の根幹に関わる。安全性に配慮しつつ、審査を急ぐべきだ。

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