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ガザ情勢 停戦要求に水差す米国の混乱

読売新聞 / 2024年7月27日 5時0分

 パレスチナ自治区ガザでの停戦をイスラエルに受け入れさせるため、米国の本気度を直接伝える重要な機会を生かしたとは言い難い。

 米国のバイデン大統領が、訪米したイスラエルのネタニヤフ首相と会談した。バイデン氏は、イスラム主義組織ハマスとの間で停戦を実現し、人質解放について合意するよう働きかけた。

 これに対して、ネタニヤフ氏はこれまでと同様に、米国に軍事支援の強化を求めたとみられ、今回の会談でも、即時停戦を求める米国と、人質解放の優先を主張するネタニヤフ氏との隔たりは埋まらなかった模様だ。

 ネタニヤフ氏が昨年10月の戦闘開始後、初めて米国を訪れたタイミングで、戦闘停止に道筋をつけられなかったのは遺憾である。

 会談に先立ち、ネタニヤフ氏は米議会の上下両院合同会議で演説した。「ハマスを壊滅し、人質を全員帰還させるまで戦う」と述べ、戦闘を継続する考えに変わりがないことを強調した。

 ハマスはガザを長年にわたり実効支配し、住民に浸透してきた。イスラエルがハマスを「壊滅」することは物理的に不可能ではないか。非現実的な目標を掲げ、暴力を拡大することは許されない。

 もともと親イスラエルだった米国の世論は、今、二つに割れている。ネタニヤフ氏の演説に対し、共和党議員が拍手を送る一方、多くの民主党議員が欠席した。議会周辺では、イスラエルに抗議する数千人規模のデモが起きた。

 厳しさを増す世論を背景に、バイデン氏はネタニヤフ氏に、より強く自制を迫ることもできたはずだった。だが、バイデン氏はネタニヤフ氏の訪米直前に大統領再選を断念し、ハリス副大統領を後継候補に指名した。

 こうした米国政治の混乱によって、バイデン氏の働きかけが迫力を欠いたのは否めない。

 戦闘開始から9か月以上が経過し、イスラエルの武力行使に歯止めがかからない中、ガザの人道状況は悪化の一途をたどる。

 ガザ保健当局の発表によると、イスラエル軍の攻撃による死者は3万9000人を超えた。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のガザの現地職員197人も犠牲になった。

 バイデン氏は来年1月までの大統領としての任期を全うするとしている。イスラエルが態度を改めなければ、武器支援を停止するという警告を、任期中にも実行に移すべきではないか。

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