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亡きセッター・藤井直伸さんの思いと挑むパリ…52年ぶりの快挙目指すバレー男子代表

読売新聞 / 2024年7月27日 20時27分

パリ五輪出場を決め、藤井さんのユニホームとともに記念撮影に応じる選手たち(2023年10月7日)

 バレーボール男子の1次リーグで27日、ドイツに惜敗した日本代表は、ある仲間への思いを胸にプレーした。東京五輪に出場し、パリを目指していた昨年3月、胃がんのため、31歳で亡くなった藤井直伸さんのことだ。選手らは「藤井さんと頂点をつかむ」と誓う。ミュンヘン大会以来、52年ぶりのメダルに向けた挑戦が始まった。(長沢勇貴、高木文一)

 宮城県石巻市出身の藤井さんは、司令塔であるセッターとして活躍。「世界一美しい」と評されるクイックなど、相手に思うようにブロックさせないトスワークが持ち味で、2017年から代表に定着した。ちゃめっけがある明るい人柄で、誰からも愛されていた。

 21年の東京五輪では、チームをベスト8に導く原動力となった。同年末、目の不調を感じるようになり、22年2月にステージ4の胃がんで闘病していることを公表。23年3月10日に亡くなった。見舞いに訪れた選手らに「必ず代表に復帰する」と話し、最後まで気丈に振る舞っていたという。

 同年10月1日、パリ五輪の出場権をかけた予選東京大会に臨んだ日本代表は苦境に立たされていた。格下のエジプトに逆転負けし、重苦しい空気に包まれた。

 藤井さんと同じセッターの関田誠大選手(30)はその夜、藤井さんの闘病生活を取り上げたテレビの特集を見た。「パリは、 切磋琢磨 せっさたくましてきた藤井さんが立ちたかったはずの場所。自分たちが決めないといけない」。奮起を誓い、前を向いた。

 その後、チームは調子を取り戻した。同7日、スロベニアに快勝し、五輪への自力出場を決めた。

 関田選手は、試合後のインタビューで、藤井さんの背番号3が入ったユニホームを着用し、「本当にしんどかった。精いっぱい頑張ろうと思い、支え合った結果が出た」と涙を流した。藤井さんから学んだクイックは、関田選手の強みになっている。

 東京五輪で藤井さんとプレーした西田有志選手(24)は、原因不明の体調不良に悩まされていた時、闘病中の藤井さんから「大丈夫か」と励まされたという。「結果を出すことが一番の供養になる」と力を込めた。

 五輪初出場の高橋健太郎選手(29)は「選手として成長できたのは、藤井さんの速いトスを打ち返すことができるように練習したおかげです」と感謝している。

 この日のドイツ戦はフルセットの激戦となり、2―3で敗れたが、西田選手が勝負所で鋭いアタックを決めるなど日本代表は気迫のこもったプレーを見せた。

 テレビで観戦した藤井さんの母・みちえさん(58)は、「惜しかったけど、選手に一体感があり、息子も一緒に戦っている気持ちになれた。次のアルゼンチン戦に期待しています」と話した。

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