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角田夏実「自分の柔道作れた」…腕ひしぎ十字固めを磨き上げ「関節技の鬼」に

読売新聞 / 2024年7月27日 21時21分

準々決勝でフランス選手に一本勝ちした角田夏実(下)(27日)=関口寛人撮影

 パリ五輪の柔道は男女各1階級が27日行われ、女子48キロ級で2023年まで世界選手権3連覇の角田夏実(SBC湘南美容クリニック)は、3試合連続一本勝ちで準決勝に進出。男子60キロ級の永山竜樹(SBC湘南美容クリニック)は準々決勝でスペイン選手に敗れ、敗者復活戦に回った。

 「関節技の鬼」が本領を発揮した。一度絡みつくと相手を逃さない。柔道女子48キロ級の角田夏実選手は、大学時代に磨き上げた必殺技を武器とする。五輪に初めて出場した31歳が、大舞台で強烈な個性を放った。(蛭川裕太)

 柔道は高校でやめるつもりだった。中学2年の全国大会は13秒で初戦敗退、高校でも3位が最高だった。「これ以上強くなれない」と自分の限界を悟った。

 「お菓子作りが好きだから、専門学校に進んでパティシエになろう」。そんなことを考えていた時、強化に力を入れ始めた国立の東京学芸大に声をかけられた。「軽く柔道をしながら、勉強できればいいか」

 ほぼ毎日稽古だった地元の千葉県の高校と違い、週休2日だった。指導者は選手の自主性を尊重し、練習メニューも自分で決められた。「議論しながら強くなる方法を考えていくのが楽しかった」と振り返る。

 競技人生を大きく変えたのが、入学後、知り合いに誘われて参加した柔術教室だった。「柔道にも生かせるかもしれない」と、のめり込んだ。

 体重70キロを超える男性たちと1時間ぶっ続けで寝技の練習を重ねた。熱中するあまり、絞め技で相手を失神させたこともあった。

 そこで磨き上げたのが、相手の腕を足で挟む関節技「腕ひしぎ十字固め」。相手の体勢や腕の位置によって、入り方を研究した。

 試合で面白いように決まり始め、3年の時に初めて大学日本一に。決勝で一本を取った技は、腕ひしぎ十字固めだった。いつしか「関節技の鬼」と呼ばれるようになった。

 必殺技は、それだけではない。社会人で本格的に習得した「ともえ投げ」。背中を畳につけ、引き込んだ相手を足ではね上げる。投げ損ねても、寝技に持ち込んで関節をからめとる「必勝パターン」が完成した。

 過去に対戦したことがある日本代表の阿部詩選手(24)は、こう評する。「誰にも感じたことのない不気味さがある。相手のテリトリーに入ると、遊ばれる。蛇みたいな柔道」

 東京五輪は補欠にとどまったが、2021年から世界選手権を3連覇。全15試合を全て一本勝ちという圧倒的な強さを見せた。そのほとんどを得意の二つの技で決めた。

 「角田は寝技しかできない」という批判的な言葉に悩んだこともあった。それでも、「結果を出すことで不安な気持ちを吹っ切ってきた」と、信じる道を歩んできた。

 本番を前に、こう決意を語った。「自分の柔道を作れた。結果を出し、諦めないで戦ってきてよかったと言いたい」。言葉通り、初戦から全て腕ひしぎ十字固めとともえ投げで一本勝ちし、準決勝に進出した。

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