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国際標準戦略 人材の育成を急ぎ主導権握れ

読売新聞 / 2024年7月28日 5時0分

 工業製品やデジタル関連技術などの国際的な標準規格を巡り、世界的な主導権争いが激しくなっている。日本も人材の育成を進めて、産業競争力の強化につなげていくべきだ。

 日本政府は、国際規格づくりに積極的にかかわるため、有識者会議を設置した。来春をめどに先端分野などを念頭に「国家標準戦略」を策定する方針だ。

 国際標準とは、製品やサービスの互換性や品質の確保を目的として標準仕様を定めるものである。国際標準化機構(ISO)などの国際機関が決めており、代表的な例としては、乾電池の「単2」「単3」やQRコードがある。

 企業は、自社の技術が国際標準に採用されれば、製品の競争力が高まり、海外に売り込みやすくなる。主導権を握るには人材や資金、体制の強化が急務だ。

 だが、日本はそうした観点からの国家戦略が明確でない。

 このため、欧米の競合社の製品が国際規格に先行して採用され、産業用押しボタンで高いシェア(占有率)があった日本企業の販売が落ち込んだ例がある。その後、高性能製品で国際標準を獲得し、巻き返したのは重い教訓だ。

 従来の工業製品だけでなく、量子技術などの先端分野は、経済安全保障上、重みを増している。

 米国や中国、欧州連合(EU)は、2020年代に入って、脱炭素や人工知能(AI)などの先端分野で、国際標準化を推し進める国家戦略を打ち出した。

 技術覇権を握るためにも、国際標準の重要性は高い。日本も後れをとってはならない。

 日本は近年、脱炭素分野では、一定の存在感を示している。走行時に二酸化炭素を出さない燃料電池車(FCV)用の水素ステーションや、電気自動車(EV)向けのリチウムイオン電池などで国際標準となった規格が多い。

 日本が強みを持つ分野を見定めて、官民が連携し、集中的に後押ししていきたい。

 最大の課題は人材の育成だ。現在、国際標準の交渉を担っているのは、日本の成長を支えてきた企業の研究開発部門や業界団体などから参加する代表者である。だが、50歳以上が7割超を占め、先細りが避けられない状況だ。

 国際機関での交渉は、語学力や技術の専門知識が問われる。政府が研修を積極的に行い、若手を育成していく必要がある。企業も国際標準の重要性への認識を深め、適切な社内の人事評価で専門人材を増やしていくことが大切だ。

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