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佐賀県の「田んぼダム」、九州最大規模の2700ヘクタールに…県が調整版提供や農家補助

読売新聞 / 2024年7月28日 10時21分

 大雨による水害のリスクを抑えるため、佐賀県などが2022年度から農家の協力を得て導入している「田んぼダム」の面積が、今年5月時点で約2700ヘクタールになった。九州最大の規模で、農林水産省はこうした農地を活用した流域治水対策の強化を目指している。(鹿子木清照)

 田んぼダムは、県が提供する縦15センチ、横43センチの調整板を水田の排水口にはめ込んで水をためる形。調整板の中央部にV字形の切れ込み(深さ10センチ)を入れ、雨水を田んぼにためつつ、水路や川にゆっくりと流す。排水量を抑制し、浸水や冠水被害の軽減に効果が期待されている。

 協力農家には、県が市町を通じて10アール(1反)当たり2000円を支給し、設置場所などが壊れた時は復旧費も負担する仕組みだ。

 県内では、佐賀、神埼市、吉野ヶ里町など有明海側を中心に7市4町の農家が実施。22年度は計約1160ヘクタールだったが、23年度は2150ヘクタールに広がり、今年度もさらに増えて2700ヘクタールになった。県の試算によると、全貯水量は単純計算で270万立方メートルに達し、佐賀市の北山ダム貯水量(約2200万立方メートル)の12パーセントに当たるという。

 19、21年の大雨で住宅の浸水被害が相次いだ佐賀市では、22年度の176ヘクタールから23年度は271ヘクタール、今年度は397ヘクタールと増えている。市農村環境課は「市内は平野部が多く、満潮時には有明海の海水が逆流して川の水位が上がることがある。想定を超えるような雨が降ると水害の危険度が高まる」と地形上の特性を指摘。「梅雨や台風時の豪雨対策として取り組みを続けたい」と話す。

 田んぼダムは新潟県神林村(現在の村上市)で02年に始まり、昨年度までに全国約8万6900ヘクタールで行われている。事業を支援する農水省農地資源課は、線状降水帯などによる大雨が多発していることを挙げ、「従来の河川整備計画だけでは対応が難しい気象環境に変わってきた。人命や財産を守るため、田んぼダムに取り組む地域を全国的に増やし、水害の危険性を少しでも抑えられるようにしたい」としている。

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