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パリ五輪開幕 暴力に屈せず「花の都」輝く

読売新聞 / 2024年7月28日 5時0分

 パリで100年ぶりの五輪が開幕した。高速鉄道への破壊行為があり、緊張の中での幕開けとなったが、開会式は無事に開催され、選手らはセーヌ川を船でパレードした。

 開会式は、夏季五輪で史上初めて競技場外で実施され、パリの中心街を舞台とする斬新な演出が光った。セーヌ川沿いや橋の上でダンスやファッションショーが披露され、街に歌声が響いた。

 河岸には30万人の観客が詰めかけ、各国の選手らは、雨に煙る船上から国旗や手を振っていた。

 コロナ禍のさなか、無観客で開催された東京大会の開会式から3年を経て、五輪に人々の歓声が戻ってきたのが印象的だ。

 デジタル全盛の時代に、人がリアルに踊り、歌うことの素晴らしさを改めて認識させてくれた。芸術の街、パリにふさわしいプログラムだったと言えよう。

 今大会は環境に配慮して、既存の施設をできるだけ活用する。選手やスタッフの男女比もほぼ半々にするなど、性別や人種、文化の違いなどを超えた多様性の尊重もアピールしている。新しい時代の五輪を予感させる取り組みだ。

 開会式当日の未明には、高速鉄道TGVの設備が放火されるという破壊行為があった。パリと地方都市を結ぶ複数の路線を標的にした同時多発的な犯行である。

 現場では、線路脇のケーブルが切断され、発火装置なども見つかった。死傷者は出なかったが、多くの列車が運休し、ドイツの選手2人が開会式に出席できなかった。サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)も、バスでの移動を余儀なくされた。

 五輪を妨害しようとする悪意に満ちた暴力は許し難い。捜査当局は早急に犯行グループを摘発し、厳しく処罰する必要がある。

 仏政府は大会期間中、1日あたり3万5000人の治安要員を動員するという。大会の成否は、安全な運営にかかっている。警備に万全を尽くしてほしい。

 パリ五輪は、ロシアのウクライナ侵略や、パレスチナ自治区ガザへのイスラエルの攻撃が続く戦時下で始まった。平和が脅かされ、国際情勢が不安定化している。

 大会は8月11日までの日程で行われ、200を超える国・地域から参加した選手約1万人が熱戦を繰り広げる。その中には、苦境にあるウクライナやパレスチナの選手たちも含まれている。

 各国の選手たちが喜びいっぱいに笑顔を見せる姿から、平和の尊さを再確認する大会でもある。

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