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パリの暑さに打ち勝つ日本の秘策、汗の分析で給水法を助言…凍らせたゼリーも

読売新聞 / 2024年7月28日 7時0分

練習中に頭から水をかぶって冷やすセルビアのジョコビッチ(AP)

 【パリ=読売取材団】五輪が開幕したパリは、8月11日までの期間中、例年以上の暑さに見舞われる可能性が指摘されている。トップ選手の活躍や有観客による盛り上がりが期待される中、来場者や競技関係者は入念な暑熱対策が必要になりそうだ。

 非営利団体「アンフォクリマ」によると、パリでは昨夏最高で7月に34・2度、8月に31・9度、9月にも35・5度を記録。2019年7月には温暖化の影響から、パリで観測史上最高の42・6度を記録している。フランス気象局は6月下旬、今夏も例年より気温が高くなる可能性がある、との見通しを公表した。

競技時間の変更も視野に

 今大会は、スケートボードや新競技ブレイキン(ブレイクダンス)などのアクションスポーツが行われる市中心部のコンコルド広場をはじめ、屋外会場での競技が少なくない。観戦者の暑さ対策として、一部の会場をのぞいて750ミリ・リットルよりも容量が少なく、瓶ではないボトルならば持ち込め、水飲み場が用意される会場もあるという。ビーチバレーは観光名所のエッフェル塔近くに設けられた仮設スタンドに約1万3000人を収容予定だが屋根はない。会場責任者は、「暑さがあまりに厳しい場合は、競技時間の変更も視野に入れる」と話す。

 フランスの夏は、日本と比べると乾燥していて日差しが強い傾向にある。日本に比べてエアコンの設置が進んでいないパリの交通機関では、車内が暑くなることもしばしば。パリを訪れる人は、水分補給や直射日光への対策が欠かせない。

選手村に簡易型エアコンの設置希望2500台

 競技者にとっても暑さ対策は課題となる。今回、パリ郊外に建設された選手村には、環境保護の観点からエアコンがない。そのため、エアコンを追加で申し込む国が相次ぎ、AFP通信によると、簡易型エアコンの設置希望は2500台ほどに達しているという。

 暑さは試合でのパフォーマンスに影響するため、日本の競技団体でも対策を進めている。暑熱対策に長く取り組んでいる日本陸連では、暑熱順化や体の冷却、発汗で失われる成分の補給など、同じく酷暑が懸念された21年東京五輪の時の対策を「ブラッシュアップしている」(陸連科学委員会・杉田正明委員長)。

 男女マラソンの代表と補欠8選手のうち、希望する5人について汗の成分を分析。発汗によって体内から失われる成分を明らかにし、給水の取り方や栄養の摂取方法などについて助言している。

 ブレイキンは昨年、パリ近郊での合宿で、暑い中での練習の際の心拍数をチェックして疲労のたまり具合などを細かく確認した。深部温度を下げるため、本番では足の裏や手のひらを冷やすように、凍らせたゼリーを持たせるなどの対策を実施するという。

 現在、日中のパリは比較的過ごしやすい気候になっているが、「8月初旬に熱波が来るかもしれない」(杉田委員長)との予測もあり、油断はできない状況だ。

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