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サッカー日本代表、苦手なタイプのマリ相手に泥臭く白星…OA不在感じさせない成熟度[編集委員の目]

読売新聞 / 2024年7月28日 7時40分

【パリ五輪・サッカー1次リーグ日本-マリ】後半、PKでマリの選手のシュートに反応するGK・小久保玲央ブライアン(左)(27日、ボルドーで)=松本拓也撮影

 パリオリンピックのサッカー男子は27日夜(日本時間28日早朝)、1次リーグが行われ、日本がマリを1-0で下して2連勝。2大会連続の8強入りを決めた。82分に山本理仁のゴールで先制し、GK小久保玲央ブライアンの好セーブなどで相手に得点を許さなかった。

 日本がしたたかに1次リーグ突破を決めた。初戦でパラグアイに大勝した日本に対し、マリはイスラエルと引き分け。しかもこの日は先に行われた試合でパラグアイがイスラエルを破っており、マリとしては勝ち点3が欲しい状況だった。

 マリは3月に日本国内で行った国際親善試合で1―3と逆転での完敗を喫した相手。要所ではドリブルでの突破を図ってくる日本の苦手なタイプだ。

 記者が初めてマリの若年層の代表チームを見たのは1999年にナイジェリアで行われ、日本が準優勝したワールドユース選手権(現20歳以下ワールドカップ)だったが、大柄な選手が多く、個人技が高かったことが印象に残っている。この大会でマリは3位に入った。

 ただ、この日の前半のマリは、一人ひとりがボールを持つ時間を少なくしてパスをつなぎ、守備の際には前線からプレスをかけずにハーフラインまでひいてきたため、日本はピンチらしいピンチもなく0―0で終えた。

 後半に入り、ギアを上げたマリは、前へ出て攻勢をかける。日本は63分にゴール前で鋭いシュートを放たれたが、ここはGK小久保玲央ブライアンが左へ跳び、好セーブでしのいだ。

 苦しい時間帯が続いた日本だが、82分に歓喜の瞬間が訪れた。右サイドでボールを受けたFW細谷真大が強気に突破を図り、ゴールライン近くまで進入してクロス。途中出場の三戸舜介は合わせきれず、ファーサイドの佐藤恵允のシュートはGKにはじかれた。ここへ詰めたのが、長い距離を走ってきたMF山本理仁。冷静な判断力が光るテクニシャンだが、ここは体ごと押し込むような泥臭いシュートで先制点をもたらした。

 これで勝利は決定的かと思われた日本だったが、ドラマが待っていた。後半ロスタイム、CKからのマリのシュートが、MF川崎颯太の腕に当たったとして、VAR(ビデオ・アシスタントレフェリー)の介入の末、PKの判定。しかし、相手のエースFWのキックは、きっちりコースを読んでゴール左へ跳んだ小久保の気迫に押されたかのように、ポストの左へ外れる。日本は2連勝で、ベスト8入りを果たした。

 この2試合で光るのが日本の落ち着いた試合運び。パラグアイ戦では、退場者が出た相手に対して、確実に得点を重ねて5点を奪った。この日は粘り強い守備で1対1の突破を許さず、決定的なピンチでは小久保が最後の壁として立ちはだかった。決勝点の場面では、途中出場の三戸、佐藤がゴールに絡むなど、各人が与えられた仕事を見事に果たしている。オーバーエイジの選手不在を感じさせないチームとしての成熟度だ。

 この日は先発メンバーのうち8人がパラグアイ戦と同じだったが、1試合を残して8強入りを決めたことで、1次リーグ最後となる次のイスラエル戦は、選手を大幅に入れ替えて臨むことができる。準々決勝以降の戦いも楽しみになってきた。(編集委員 川島健司)

かわしま・けんじ 1963年、東京都生まれ。87年入社。宇都宮支局、地方部を経て91年に運動部。97~2001年にはロンドンを拠点に主に欧州のスポーツを取材。運動部デスク、部長を経て、14年から編集委員。17~21年は、東京オリンピック・パラリンピック準備室長を兼務した。サッカーのワールドカップは2022年カタール大会など男女合わせて計7大会を現地取材。

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