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北海道の金山試掘に住民反対「地下水や土壌汚染される」…戦時中に強制閉山の「静狩金山」

読売新聞 / 2024年7月28日 16時4分

操業していた頃の静狩金山製錬場の全景(北海道長万部町教育委員会提供)

 戦前に栄えた静狩金山(北海道長万部町)の周辺で再び良質な鉱脈を見つけようと、オーストラリア企業の日本法人JapeX(ジャペックス、東京)が長万部町と黒松内町にまたがる地域で試掘権を取得し、金山開発の準備を進めている。この計画に対し、黒松内町の住民は、地下水や土壌が汚染される恐れがあるとして反発。同町内で今月開かれた住民説明会では、開発に反対する声が相次いだ。

 同社は、金山開発を行う豪企業「Kin―GinExploration(キンギンエクスポレーション)」の100%子会社。今年2月に北海道経済産業局から、両町にまたがる約3・7キロ四方の範囲で試掘権を取得し、来年5月以降の着手を目指している。

 試掘権の有効期間は2年だが、最長6年まで延長できる。同社は試掘によって、採算性が確保できる埋蔵が推定できた場合、採掘が可能になる採掘権を申請する方針。採掘権を得ても、実際に採掘を行うには、地元自治体の同意などを含めた施業案(事業実施計画)の許可を得る必要がある。

 19日に開かれた説明会で、ジャペックスの細川泰行・執行役員は「静狩金山は戦時中、政府から強制的に閉山させられており、まだ有望な鉱脈が残っている可能性がある」と説明。試掘は林道脇や空き地などで行うため、「木を切らず、山も削らず、使用した水も域外に出さない環境に配慮した作業だ」と理解を求めた。

 しかし、約80人が参加した住民の側からは「地下水が汚染される恐れがある」「金山開発自体が地球に負荷をかける事業だ」などと、試掘自体の中止を求める声が次々に上がった。

 同社は「住民の方々には丁寧に説明していきたい。様々な質問に対しては、次回の説明会やホームページなどで回答を示す」としている。

◆静狩金山=明治期に発見され、1918年(大正7年)から本格的に採掘が始まった。43年(昭和18年)に政府の決定により閉山した際には、約2000人の従業員がいたという。それまでの総産金量は当時としては全国9位の5089キロ・グラムに達した。

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