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連覇に挑む阿部一二三、専門家のアドバイスや猛稽古で心身の隙埋める…「圧倒的な力を見せる」

読売新聞 / 2024年7月28日 23時19分

柔道男子66キロ級の準々決勝でタジキスタン選手に勝利した阿部一二三選手(右)(28日、パリで)=関口寛人撮影

 柔道で誰も成し遂げたことのない「五輪4連覇」を公言する男子66キロ級の阿部一二三選手(26)の第2章が始まった。目指してきたのは、「隙のない柔道」。東京五輪に続くパリ五輪金メダルを目指し、不安な要素を全て排してパリの畳へと上がった。(蛭川裕太)

 競技人生の転換点に挙げる試合がある。2020年12月、東京五輪代表の座をかけた日本柔道界初の決定戦。にらみ合ったのは、長年のライバル丸山城志郎選手(30)だった。

 延長を合わせて24分にも及ぶ死闘を制す。その激戦にたどりつくまでを含め、「1試合も落とせない崖っぷち」を耐え抜いた過程が自身を大きく成長させた。「強くなっていると実感できたのは高校生以来。あの経験は今に生きている」

 この激戦前、苦しんでいた減量を見直し、専門家のアドバイスを仰ぐようになった。急激に体重を落とさない方法を取り入れたことで体への負荷が減り、直前まで厳しい稽古を積めた。

 今では減量の期間に入ると、食事は自分で作っている。量をグラム単位で調整する。ブロッコリーや鶏胸肉を中心としたメニューにおいしさは求めない。

 食事面のサポートをする食品会社「味の素」の栗原秀文さん(48)は言う。「体のことを考えて数字と生きている。職人のようだ」

 東京五輪前の勝てなかった時期から、人にアドバイスを求めるようにもなった。世界王者になっても、その姿勢は同じ。自分とは違う視点に気付かされ、「柔道の幅が広がった」。

 豊富な練習量は変わらない。4分の試合を想定した乱取りでは、延長戦も意識しながら自分が納得するまで続けた。15分近くに及ぶこともあった。「試合の時は体が勝手に動く」と自負するまで技を磨いた。

 男子代表の鈴木桂治監督(44)は「強くなるため、貪欲に一日一日を過ごすことができる」と評する。東京五輪後に積み上げた国際大会での連勝は、25まで伸びた。

 5月に足を運んだのは東京ドーム。ボクシング世界王者の井上尚弥選手(31)の防衛戦を観戦した。4階級を制覇して「モンスター」と呼ばれる井上選手に、五輪連覇を有力視される自分を重ねた。

 井上選手は圧勝したが、初めてダウンする姿を目の当たりにした。「あれが柔道で一本だったら負け。井上選手でもそういうことがある。怖さを感じたし、絶対に油断できないと思った」と気を引き締めた。

 心身の隙を埋め、たどり着いたパリの舞台。「オール一本勝ちで圧倒的な力を見せて優勝したい」との宣言通り、順調に滑り出した。

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