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出産経た五輪代表セッター「働くお母さんたちの励みに」と精密トス…父「練習のそばで僕がガラガラ孫あやした」

読売新聞 / 2024年7月29日 2時26分

ポーランド戦でトスを上げる岩崎こよみ選手(手前)(28日、パリで)=上甲鉄撮影

 パリオリンピックのバレーボール女子の1次リーグで、28日にポーランドとの初戦に臨んだ日本代表のセッター、岩崎こよみ選手(35)は、出産を経て競技に復帰した。子育てと両立できずに競技から離れていった仲間を見てきた岩崎選手は、「働くお母さんの励みになる」と誓い、12年ぶりのメダル獲得を目指すチームを支える。(長沢勇貴、高木文一)

 身長1メートル75。日本人セッターとしては大柄の体格を生かしたブロックや巧みなトスワークが特徴だ。初めての五輪の舞台となったポーランド戦では先発し、生き生きとプレーした。

 小学生の時に東京都狛江市でバレーボールを始め、主にアタッカーを務めた。名門の下北沢成徳高(東京都)では、当時、監督を務めていた小川良樹さん(68)から、パスのうまさや視野の広さを評価され、司令塔となるセッターとしての経験も積んだ。小川さんは「仲間がアタックを決めるたびに『ありがとう』と言う優しい子だった」という。

 2009年、20歳で代表に初選出されたが、定着はせず、リオデジャネイロ、東京の2大会でメンバー入りすることはなかった。

 21年5月に長男(3)を出産。約2か月、育児に専念した。極度の貧血状態となり、階段を上るだけで息が切れるなど、体力が落ちているのを実感した。「子育てをしながら、再び代表でプレーできるレベルになれるとは思えなかった」

 それでも、出産後もトップレベルで競技を続けられると証明すれば、若い選手の希望になると思い直した。

 息子が病気をしたら所属チームの練習を休まなければならず、仲間に迷惑をかけてしまう――。そんな心配を振り払ってくれたのは、同居する夫や両親だった。

 母子ができるだけ一緒にいられるようにと、父・冨永憲治さん(68)は、バレーボールのコートの隣にベビーカーを置いて子守をしてくれた。「激しい練習をしているそばで、僕がガラガラを鳴らして孫をあやしていました」と笑顔で話す。

 出産から約9か月後に所属チームの公式戦に復帰。昨年、日本代表に4年ぶりに招集された。20代の頃よりもトスの精度が向上したという。

 12年のロンドン大会で銅メダルに導いている真鍋政義監督は「2年前から候補だったが、お子さんが小さいのでなかなか呼べない状況だった」と説明。岩崎選手は今年の世界大会「ネーションズリーグ」で、レギュラーとして準優勝に貢献するなど期待に応えた。

 長男は、観客が日の丸を振る様子がテレビに映ると、「ニッポン、ニッポン」と声を上げるようになったという。岩崎選手は「家族や周囲の助けを得ながら、アスリートも子育てもしっかりやる。そんな姿を子育て中のお父さん、お母さんに届けたい」と話している。

精密トスと子育て両立 

「働くママの励みに」 

バレー女子セッター岩崎 

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