1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

パリの仮設トイレは気恥ずかしい「チラ見え」…フランス人は歯牙にもかけず「解放感抜群?」

読売新聞 / 2024年7月29日 7時3分

[パリ五輪こぼれ話]

 オリンピックの取材でパリに滞在していて意外に困るのが、トイレです。日本のように、地下鉄や鉄道の駅に必ず設置されているわけではないし、気軽にトイレを借りられるコンビニがあるわけでもありません。トイレを求めて5~6階建てのデパートに入っても1か所しかないこともあります。困った時にはカフェに立ち寄って3ユーロほどのエスプレッソを頼み、ついでに用を足すことも。1ユーロ=160円台後半で推移する円安の折、ちりも積もれば山となりかねません。

 そんな中、救世主となってくれるのが仮設トイレです。競技会場の内外などに設置され、オリンピックの観戦客らが次々に利用していきます。ただ、日本でもおなじみの個室タイプならいいのですが、日本人の感覚からすると一瞬、たじろいでしまいそうなものもあります。円柱を4等分に区分けし、間仕切り部分を除いて内側へくりぬいたような、男性の「小」専用です。わずか2平方メートルほどのスペースで1度に4人が放水できる優れ物ですが、背後を覆うものはなく、その丸腰ぶりは明らかです。さらに殿方の懐刀が「丸見え」とは言わないまでも、「チラ見え」の懸念は沸々とわいてきます。

 世界的には珍しい恥の文化なのだろうか――。そんな疑問もわき、利用者に声をかけてみると、同好の士はいました。フランス競技場での7人制ラグビーの観戦に訪れたアイルランドのブライアン・オドリスコールさんは「こういうところにトイレがあると便利。ちょっと我慢していたので、すっきりした」と爽快感を強調した一方で、「周りの目は気になるよね」と苦笑い。「誰かに見られているようで、速く済ませようと思ってしまう」と偽らざる心境を明かしてくれました。

 もっとも、男の股間にかかわる問題を、フランス人は歯牙にもかけません。パリ近郊から観戦に来たヴァランタン・デュフォレさんは「全然、気にならないよ。(小用中にこちらを)見る人なんて誰もいない」と一刀両断。友人らと連れ立って来たラファエル・ブランさんも「競技場内の男子トイレだって、こんな感じだよ。どうして気になるの」と、逆に質問されてしまいました。

 日本の銭湯や温泉での入浴に気恥ずかしさを覚える外国人がいるように、羞恥心の感じ方は千差万別。パリの仮設トイレも、見方を変えれば「開放感抜群」と言えないこともありません。体が求める生理現象に、我慢は禁物。「郷に入っては郷に従え」の精神で、気持ちよく会場へ足を運びたいものです。(デジタル編集部 深井千弘)

 パリオリンピックを巡る様々な話題を、ユニークな視点で随時お届けするコーナーです。

ふかい・ゆきひろ 1977年生まれ。2000年に入社し、地方支局や運動部などを経て、2022年からデジタル編集部。オリンピックの取材は3年前の東京大会に続いて2度目。好きなフランス映画は「最強のふたり」。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください