キャプテン翼のキャラ名、高橋陽一さんが明かす驚きの命名法「地図見てよさげなところとか…」
読売新聞 / 2024年7月30日 10時0分
人気サッカー漫画『キャプテン翼』の作者で、関東サッカーリーグ1部所属の「南葛SC」(東京都葛飾区)代表の高橋陽一さんと南葛の風間八宏監督が、読売新聞ポッドキャスト「ピッチサイド 日本サッカーここだけの話」に出演した。
「リアル」南葛SCはトントン拍子で
キャプテン翼は、主人公・大空翼の成長を姿を描くスポーツ漫画として、1981年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載がスタートした。90年代にかけての「ジャンプ黄金期」を支えるとともに、当時まだマイナースポーツだったサッカーを子どもたちに広めることにも大きく貢献した。
高橋さんは40年以上にわたって親しまれてきたキャプテン翼の誌面連載を今年4月に終了。ウェブにネーム(下書き)を掲載する方式で物語を継続させる。
その大空翼が少年期に所属していたのが「南葛少年サッカークラブ(南葛SC)」。
そして、葛飾区にある現実の「南葛SC」が誕生したのは2013年。クラブの後援会長に高橋さんが就任したことを受け、クラブ名も「南葛SC」に改称。その後、高橋さんはクラブのオーナーにも就任した。
「自分の描いた漫画のチーム名が現実になって、しかも自分の生まれ育った葛飾区に出来ている。夢心地というか」と、高橋さんは心境を語る。
サッカークラブを持ちたいという思いが以前からあったのかを番組MCを務める元日本代表の槙野智章さんから問われると、「そんなことは全然なかったです。たまたま地元の葛飾でJ1を目指しているクラブがあって。協力してもらえないかという話からトントントンと」と経緯を振り返る。
ボールはともだち
リアル南葛SCのチームコンセプトもキャプテン翼の精神が息づいている。今シーズンからチームを率いる風間監督は「(大空翼の)『ボールはともだち』がすごく大切な言葉で、それを具現化すること」と強調。楽しさを表現するサッカーに重きを置いているという。
風間さんに監督就任をお願いする席には、高橋さんも同席したという。「まさか受けてくれると思っていなくて、ダメ元だったんですけど」と高橋さんは言う。風間さんは過去にJ1の川崎や名古屋を率いた経験もある。南葛SCは、J1からJ3まであるプロリーグ「Jリーグ」の下部リーグで、アマチュアリーグ最高峰のJFLよりも下、地域リーグに所属する。
風間さんは監督を引き受けたことについて「おもしろいオファーだとすぐ分かったし、『キャプテン翼』があって、そこを大切にするということがはっきりしていた。夢に向かって一緒にやっていきたいと思ったので(決断に)時間はかからなかった」。交渉の席に高橋さんがいたことも「(高橋さんが)出てくると思ってなかった。びっくりしましたよ」と笑顔で振り返る。
松山千春? 日向市?
キャプテン翼はシリーズ累計発行部数が世界9000万部を超え、50以上の国や地域で読まれている。海外のサッカー選手たちにも大空翼ら登場人物は、あこがれを持って愛され続けている。
「雑誌連載は一区切りついたが、ウェブで下書きの段階で見せる。その分、ストーリーの速さは今までよりも早く皆さんにお届けすることができるので、そちらを選んだ。漫画をつくるのはちょっと時間がかかりすぎて、なかなか話も先に進んでいかなかったので、もっともっと先の翼の話を書きたいので」
1980年代にドイツのクラブでプレーしていた風間さんは、「もっと早く(キャプテン翼を)描いてもらえていたら。キャプテン翼が先に(海外に)行ってくれてたら、もっと(日本人選手が)受け入れられやすかったと思う」と笑う。
槙野さんもドイツ・ケルン時代に、キャプテン翼の登場人物をデザインしたスパイクや膝当てを使う選手たちをよく見たという。世界のサッカー界に与えたキャプテン翼の影響力は計り知れない。
では、高橋さんは個性豊かな登場人物の名前をどうやって決めてきたのだろうか。
「地図見て、地名でよさげなところとか。日向小次郎は宮崎県日向市。地名だけではないんですけど、松山光は(歌手の)松山千春さんが好きだったので」と驚きの回答。ちなみに、松山は作中で北海道コンサドーレ札幌に所属している。
プロフィル
高橋陽一(たかはし・よういち)
漫画家。南葛SC代表。代表作『キャプテン翼』は1980年に「週刊少年ジャンプ」の読み切り作品として掲載され、翌年から連載がスタート。シリーズ累計世界9000万部を発行した。40年以上続いた連載は4月に終了した。1960年生まれ。東京都葛飾区出身。
風間八宏(かざま・やひろ)
南葛SC監督兼テクニカルダイレクター。1984~89年ドイツでプレーし、マツダSC(現・サンフレッチェ広島)に入団。引退後は川崎フロンターレや名古屋グランパスの監督を歴任した。1961年生まれ。静岡県出身。
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