関東一バント攻勢…守備の隙突きエース崩す「スキが出てくる、投手を疲れさせる作戦だった」

５回、関東一・畠中がバント安打を決める（捕手・丹羽）

　全国高校野球地方大会は２９日、和歌山大会では、智弁和歌山が近大新宮の追い上げを振り切って２年ぶりの夏の甲子園を勝ち取った。菰野（三重）は鈴鹿との接戦を制し、関東一（東東京）は帝京を破って代表の座をつかんだ。創成館（長崎）は２年連続の出場を決めた。３０日に愛媛で決勝が行われ、全４９代表が出そろう。

関東一８―５帝京

　関東一は、豪打・帝京の守りに付け込んだ。バント処理のほとんどはエース小野。９番畠中は「準決勝で三塁手はほとんど動いていなかった」といい、主将の高橋は「スキが出てくると思った。投手を疲れさせる作戦だった」と明かした。

　小野の優れたフィールディングを逆手に取った。三回、２番成井の投前バント安打は主将・高橋の２点二塁打を呼び込み、相手守備のミスの連鎖が始まる。五回、９番畠中の投前バント安打は小野の悪送球を誘って８点目。とにかく小野を動かし、五つのバントを絡めて得点を重ねた。

　成井は投手と三塁手の中間、畠中は三塁線に転がした。米沢監督は「帝京さんのようにバットを振らせたい。でも本塁打はなかなか。バントは個人練習。コツコツやってくれた」と喜んだ。

　高校通算６０本塁打という高橋ですら「みんな僕に本塁打は期待しない。つなぎで上回りたかった」と言う。背景には八戸学院光星（青森）の着実なバントの前に初戦敗退した今春の選抜がある。苦い思いを断ち切った。（中村孝）

関東一（東東京）　５年ぶり９度目

　◇１９２７年創部。選抜には７度出場し、８７年準優勝。今春は初戦敗退。ＯＢに巨人のオコエ瑠偉。私立。