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低反発バット導入から初めての夏、高校野球のセオリー「出塁したら送りバント」に変化も

読売新聞 / 2024年7月30日 20時8分

2点本塁打を放つ前橋育英の選手(15日、前橋市で)

 第106回全国高校野球選手権群馬大会は健大高崎が優勝し、閉幕した。今大会は低反発バットが本格的に導入された初の夏の県大会となった。各校は打撃力を維持するため対策を強化して大会に臨み、新しい戦術を取り入れる動きも見られた。(金城英大)

 健大高崎は今大会も強打が光った。決勝で2本目の本塁打を放った田中陽翔選手(3年)は、低反発バットの導入にも「苦戦しなかった」と胸を張った。低反発バットでも飛距離を維持するため、重心が先端部にあるバットを選んだ。遠心力を利用しスイングスピードを上げたが、バットコントロールの力が必要になる。ベンチプレスやスクワットなどで全身の筋力を強化した。

 健大高崎は今年1月頃から対策を進めてきた。チームは今大会、5試合で本塁打7本を含む長打22本。青柳博文監督は「トレーニングの成果がでた」と話した。

 準優勝の前橋商は計16本、健大高崎に準決勝で敗れた前橋育英も12本の長打を放った。大会全試合で見ると、1試合あたりの長打は4・1本。昨夏の大会(4・4本)に比べ減ったが、県高野連関係者の一人は「もっと少ないと思っていたが、数か月で低反発バットに対応した」と評価した。

 一方、「出塁したら送りバント」という高校野球のセオリーにも変化が見られた。低反発バットの導入で、外野の選手がこれまで以上に前進して守備につくケースが増えたことが背景にある。「外野手の守備位置が浅くなり、得点圏に走者を進めても(バックホームの距離が短くなって)生還しにくくなった。ならば打つ」(前橋商の住吉信篤監督)との判断も生まれた。

 前橋商が準決勝、1点リードされた九回無死一塁で選んだのは、送りバントではなくヒッティング。これまでの大会ならば、アウトカウントを増やしても走者を手堅く得点圏の二塁に進めてきたような場面だった。前橋商はここで打線がつながり、一挙5得点で勝利した。

 外野守備で珍しいプレーも生まれた。準々決勝、前橋育英の守備。八回二死二、三塁の場面で、右翼手の早川大惺選手(3年)は、外野に抜けてきたゴロを素早く一塁に送球し、ライトゴロで打者をしとめた。荒井直樹監督は「低反発バットが導入されて以降、練習していた」。相手の意表をつくプレーで無失点で切りぬけた前橋育英は、九回に3点差を追いつき、延長戦を制した。

 監督の一人は大会後、「これまでのバットと打撃の音なども違い、打球がどれだけ伸びるのかなど、まだつかみきれていないところがある」と話した。試行錯誤は今後も続く。

 ◆低反発バット=反発力を抑えた金属バットで、従来よりも打球が飛びにくいとされる。打球の速度を抑える効果があり、直撃による投手らのケガ防止などを目的に今春の選抜大会から本格導入された。

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