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闘志を燃やす茂木幹事長、現段階で勝ち筋は見えず…執行部内のきしみ激しく

読売新聞 / 2024年7月30日 5時0分

[政治の現場]総裁選前夜<3>

 「田中角栄元幹事長ほど、貫禄はありませんが」

 自民党幹事長の茂木敏充(68)は20日、新潟県柏崎市で衆院議員の鷲尾英一郎(47)が開いた会合に出席した際、司会者から「この地区に幹事長が来たのは角栄さん以来」と紹介されると、思わず笑顔を見せた。

 約40人の茂木派(平成研究会)は、幹事長を務め、首相に上り詰めた田中が結成した田中派を源流とする。その後の経世会時代と合わせ、竹下登、橋本竜太郎、小渕恵三の3首相を輩出したが、総裁選挑戦は2003年、元運輸相の藤井孝男(81)が手を挙げたのを最後に途絶えた。

 茂木は名門派閥の後継者であることを強く意識し、9月に予定される総裁選へ闘志を燃やす。

 24日のインターネット番組では、半導体工場やデータセンターの誘致で地方にチャンスが生まれているとして、「もう一回、日本列島改造だ」と強調し、田中が唱えた政権構想の「復活」を訴えた。

 「うちはしばらく総裁選をやっていないんです。若手には期待感もあります」

 6月14日夜、茂木は東京都内の日本料理店で副総裁の麻生太郎(83)に出馬の思いをこう伝えた。麻生は日本酒の入ったグラスを手に静かにうなずいた。

禅譲シナリオ

 もっとも、現段階で茂木の勝ち筋は見えていない。報道各社の世論調査では次の総裁候補としての期待度は1%程度にとどまる。麻生は政策能力を評価し、出馬の意欲に理解を示すが、党内では「支援するかどうかは別問題だ」と見る向きが多い。

 茂木は解散を決めた安倍派の若手らと会合を持つなど、派閥横断的な支持拡大を図っているものの、茂木派自体をまとめきれるかどうかは不透明だ。派内には、総裁選に意欲を持つ元官房長官の加藤勝信(68)がおり、参院議員側では伝統的に「独立独歩」の精神が強いためだ。

 党ナンバー2として、首相で総裁の岸田文雄(67)を支える立場であることも、茂木を動きにくくしている。主君を討った「明智光秀」批判を避けるためには、岸田自らが退き、麻生の後ろ盾を得て政権を禅譲されるのがベストシナリオだ。

 しかし、茂木派の中堅・若手から、派閥パーティー収入の不正還流問題で岸田の責任を問う声が相次ぐと、再選を目指す岸田は茂木の差し金かと疑心暗鬼を深め、関係は冷え込んだ。

いら立ち

 茂木を巡り、執行部内のきしみは激しい。

 岸田に近い幹部は茂木について、「政権の評価が上がらない原因になっている。幹事長は総裁選の行司役なのだから、出馬するのなら辞めるべきだ」と突き放す。

 総務会長の森山裕(79)も茂木と距離をおいている。

 森山は今月6日、新潟市内で「岸田おろしは加速していない。世界情勢が厳しくなっている時に、どなたがふさわしいかをしっかり考えて選んでいくべきだ」と記者団に強調した。

 森山は岸田続投に傾斜を強め、茂木派からは「次の幹事長を狙っている」との警戒感が出るほどだ。

 ただ、森山には、岸田が麻生を後見役として頼り、麻生への配慮から茂木を切ろうとしないことに不満があるとされる。

 先の通常国会で政治資金規正法改正案の参院採決が迫っていた6月16日、森山は野党の取り込みを進言するため、岸田に首相公邸での面会を申し込んだが、断られた。

 岸田は当時、規正法改正案で公明党に大幅に譲歩したことで、麻生と距離ができた。岸田が関係修復のため、その2日後に入れた麻生との会食が流れるのを恐れ、改正案の妥協に前向きな森山との面会を避けたとの見方が広がった。

 森山は「政治家は政局のことばかりで、国がどうなっていくかは全く考えとらん」と周辺にいら立ちを見せた。

もどかしさ

 無派閥で、政治的な野心は薄い政調会長の渡海紀三朗(76)も岸田を支える意向ながら、もどかしさを感じている。

 渡海は政治改革で豊富な実績があるが、岸田がその熱意を受け止めきれない場面が目立つ。

 執行部が手分けし、地方組織の声を聞き取った「車座対話」では、岸田や党への批判が噴出した。渡海はその総括を全ての国会議員が参加可能な会合で行うべきだとの考えだが、実現の見通しは立っていない。

 渡海は「首相官邸の人が嫌がっている」と周囲に残念がった。(敬称略)

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