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ドラマのような逆転劇、主将・萱和磨は「諦めんな」連呼…ほんのわずかな執念の差が結果変えることを知っていた

読売新聞 / 2024年7月30日 12時0分

 パリ五輪の体操は、29日に行われた男子の団体総合決勝で、日本(橋本大輝、萱和磨、谷川 わたる=以上セントラルスポーツ、岡慎之助、杉野 正尭 たかあき=以上徳洲会)は2位で最終種目の鉄棒に臨み、首位・中国との3・267点差を覆して頂点に立った。得点は259・594で、銀メダルの中国とは0・532点差だった。団体優勝は世界選手権も合わせて15度目。予選2位通過の日本は、持ち点なしの決勝序盤、橋本があん馬で落下するなど苦しんだが、粘り強くつないで逆転した。

     ◇

 最終種目の鉄棒で橋本が着地をまとめたとき、優勝決定の直後、表彰台に上がったとき、萱は人目もはばからず泣いていた。「金メダルの瞬間は感情がぐちゃぐちゃになった」。ドラマのような逆転劇に、主将の涙は止まらなかった。

 出だしのゆかと続くあん馬でライバルの中国を突き放す――。大会前に掲げた戦略は、中国の好演技、あん馬の橋本の落下など日本のミスで狂ってしまった。相手は得意のつり輪でさらに先を行く。「行けるぞ。絶対に諦めんな」。萱の声が何度も響き渡った。

 「諦めない」は萱の体操人生そのものだ。2016年リオデジャネイロ五輪は補欠に甘んじ、団体優勝の光景を観客席から眺めた。代表入りした21年東京五輪は0・103点差で2位。ほんのわずかな執念の差が結果を左右することは、身をもって知っていた。

 萱の練習方法は独特で、どんなに崩れても演技を中断せず、とにかく最後まで通し切るという。この「諦めない」スタイルが「失敗しない男」を作り上げた。

 第4種目の跳馬でスペシャリストの谷川が失敗した後も「諦めんな」。3点以上のビハインドで鉄棒を迎えても、「諦めんな」と仲間を鼓舞し続けた。代表5人の目は、戦いが終わるまで光を失わなかった。

 東京五輪の悔しさを忘れないため、自宅リビングに飾ってある銀メダル。色が変わるかと水を向けられ、きっぱりと言った。「東京のメダルも一つのストーリー。しっかり飾っておきたい」(大舘司)

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