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花火に無粋な迷惑ドローン、無許可飛行で打ち上げ中断…監視難しく主催者は対応苦慮

読売新聞 / 2024年7月30日 15時45分

天神祭の奉納花火で観客の頭上に舞い降りたドローン(円内)(25日夜、大阪市北区で、画像の一部を修整しています)=喜多俊介撮影

 全国各地の花火大会で、撮影目的とみられるドローンの無許可飛行が相次ぎ、花火に近づき過ぎて打ち上げが中断されるトラブルが生じている。花火大会では通常、公式映像配信用など国土交通省や主催者が認めた機体以外は飛行禁止だが、ルールに不案内な外国人観光客が飛ばすケースも散見される。監視は難しく、主催者側は対応に頭を悩ませている。(上万俊弥)

天神祭にも出没

 日本三大祭りの一つ「天神祭」の奉納花火が大阪市の夜空を彩った25日夜、打ち上げ場所から300メートルほど離れた路上で、観客らの頭上に1台のドローンが上空から舞い降りた。機体はコントローラーを持つ観客の男性の手元に着陸した。

 撮影用レンズがついた機体で、全長30センチ前後。操縦者は取材に対し、台湾から来た40歳代の旅行者だと名乗り、「飛行禁止エリアとは知らなかった」と釈明。機体をケースにしまうと人混みの中に消えていった。

許可や承認必要

 航空法では、重量100グラム以上のドローンを「空港周辺」「人口集中地区上空」「上空150メートル以上」など特定の空域で飛ばす場合、国土交通省の地方航空局などに事前申請して「許可」を得る必要がある。空域にかかわらず、夜間やイベント会場上空など危険性が高い環境での飛行も、事前の「承認」が必要で、花火大会も含まれる。

 ただ、大勢の人が行き交う花火大会の観覧エリア上空での飛行は、申請があっても許可・承認されるケースはほとんどない。大多数の主催者は会場周辺での飛行を禁止しており、観客によるドローン飛行は多くが無許可とみられる。

注意喚起限界

 読売新聞の取材では、2023年以降、少なくとも6件の中断トラブルが起きている。いずれも主催者はドローン飛行を禁止していた。

 岡山県備前市で今月20日に開かれた花火大会では、打ち上げ開始前に会場の放送で注意を呼びかけていたが、花火の近くにドローンが飛来。安全確保のため、機体が離れるまでの5分ほどの間、中断した。昨年8月の前橋市の花火大会では約20分中断し、その間に帰宅する観客もいたという。

 昨年9月に中断トラブルがあった和歌山県橋本市の花火大会主催団体の担当者は「広い場所で開催するため、誰がどこから飛ばしているか分からない。注意喚起だけでは限界がある」と語る。ある大会の担当者は「中断の原因は外国人観光客のドローンだった」と打ち明けた。

 中断に至らなくても無許可飛行は後を絶たない。大阪の夏の風物詩「なにわ淀川花火大会」の運営事務局によると、昨年、会場の淀川河川敷から約2キロ離れた繁華街・梅田のビル群の上空でドローンとみられる 飛翔 ひしょう物体が目撃された。全部で10機ほどで、担当者は「年々増えている」と話す。今年は8月3日に開催され、運営事務局は会場周辺でドローンを許可なく飛ばさないよう呼びかけている。

中止賠償請求も

 ドローンの法規制に詳しい小林 正啓 まさひろ弁護士(大阪弁護士会)の話「ドローンに花火玉が当たると、互いの軌道が変わって墜落や事故の危険が生じるため、接近時の打ち上げ中断はやむを得ない。無許可飛行は航空法違反や威力業務妨害罪に問われかねず、仮に大会が中止になれば、損害賠償請求されることもあり得る」

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